日立、デジタル企業転換へ「1兆円買収」の成否

次期社長の呼び声高い「エース」が買収を主導

日立製作所の東原敏昭社長は「(買収で)世界で新たな価値を提供できる」と1兆円買収に自信を見せる(2020年12月撮影、撮影:尾形文繁)

日立製作所が過去最大級となる1兆円超の巨額買収に打って出た。

日立は7月までに、アメリカのシリコンバレーに本社を置くIT企業「グローバルロジック」の全株式を、海外投資ファンドなどの既存株主から96億ドル(約1兆0368億円)で取得する。

日立は産業機器や鉄道、家電など日本を代表する製造業大手だが、近年は単純なモノ売りから脱し、モノとインターネットをつなぐIoT分野などデジタル企業への転換を進めている。今回もその一環で、ITサービスを軸に海外展開を加速させたい考えだ。

利益率20%超の高成長企業を買収

グローバル社は2000年に創業して急成長している新興企業だ。世界14カ国に2万人の従業員を抱え、通信や金融、自動車、ヘルスケアなど欧米の大手企業を中心に400社以上の顧客を持ち、企業の業務システムの開発などを手掛けている。

2021年3月期の業績見込みは売上高が約1000億円(前期比約19%増)に対し、調整後EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)率は前期並みの20%超と収益性が高い。今後も企業のデジタル投資は拡大が続き、高い成長が見込めるという。

3月31日にオンラインで記者会見した日立の東原敏昭社長は、「デジタル化がものすごい勢いで進んでおり、自動車や工場の中にもソフトウェアが入る時代になってきている。買収する会社は医療や自動車、産業分野などでノウハウがあり、世界で新たな価値を提供できると確信している」と巨額買収に自信を示した。

日立はリーマンショックの影響もあり、2009年3月期に国内製造業で過去最悪となる7873億円の最終赤字を計上。そこからさまざまな事業部門を持つ「総花的経営」と決別し、10年以上かけて事業の選択と集中を進めてきた。

その過程でITを活用した社会インフラサービスに力を入れ、2016年には東原社長が独自のIoT基盤「ルマーダ」を発表。全部門を挙げてモノから得られるデータを分析することで、保守サービスや新たな価値を提供し、モノを売った後も継続して収益を得られるビジネスモデルを構築してきた。

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