日立、デジタル企業転換へ「1兆円買収」の成否 次期社長の呼び声高い「エース」が買収を主導
CFOを務める日立の河村芳彦専務も「当初はバランスシートに負荷がかかるが、日立は(上場子会社の売却など)資産の入れ替えを進めており、それに伴う現金が入る。1年で財務状況は元に戻る」と市場の懸念を一蹴する。
日立は上場子会社の売却を進めており、リーマンショック前に22社あった上場子会社は現在、日立金属と日立建機の2社となった。日立金属は2次入札に進んでおり、売却先は産業革新投資機構(JIC)を軸にした日米ファンド連合などに絞られてきた。売却額は7000億円超にのぼるとみられており、早ければ5月までに優先交渉権を与える可能性がある。
新中計の焦点は海外の成長戦略に
日立は2022年3月期が中期経営計画の最終年にあたり、新中計の焦点はこれまでの事業入れ替えから海外市場での成長実現に焦点が移る。そのカギを握るのが、海外のルマーダ拡大であり、その最前線に立つのがアメリカ・シリコンバレーにあるIT子会社である日立ヴァンタラだ。
日立ヴァンタラ社の会長を務める徳永俊昭氏は2021年4月に54歳という若さで日立製作所の専務から副社長に昇格。日立のIT部門全体のトップも新たに任された。
徳永氏は、2022年にも社長交代観測が出ている東原社長の信任が厚く、次期社長候補との呼び声も高い。今回の買収案件を主導してきたのも徳永氏で、31日の会見に同席した徳永氏は「日立が有するルマーダのアセットと研究開発の知見も加われば、グローバル社は高い成長を続けていける」と述べた。
日立の1兆円ディールは成功するのか。次期社長人事も絡め、その成否から目を離せないことは間違いない。
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