「思考が深い人」「浅い人」そもそもどこが違うのか 東大生も感動した「伝説の"論理思考"講座」後編

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2.まとめ:「思考を深める」ときのポイント

以上のように、「深掘りする(課題や打ち手を考案する)」といっても、結局は「現状の深掘り内容」に対して「別の視点・切り口からの検討を加える」という検討が基本です。そのため、うまく深掘りを進められない場合は、「さまざまな視点・切り口を考慮する(紐づける)」ことで、より課題が深まらないかを検討していくことが重要です。

そして、検討例で示したように、1段階の深掘り(例:時間帯×客層)であっても、細かく見ていくと、多くの検討ステップが必要になります。そのため、「切り口の関連性の検討(深掘りの検討)が中途半端に終わることを防ぐ」ためには、2軸の表のような形で「紙のメモの上に可視化」しながら整理・検討していくことが有効です。

加えて、2軸の表などの形で、検討内容を「論理的」に整理しつつも、紐づけた切り口から課題を導く過程では、「社会人が来店する時間帯を特定するために、社会人の1日のフローをイメージする」といった形で、深掘りの進捗に応じて「想像力」を発揮する必要がある点にも注意が必要です。

まとめ:「広く、深い思考」には想像力が欠かせない

これまでの全3回の記事の中で、「なぜ論理思考を自力で実践できないのか」について示しつつ、「思考を広げる」「思考を深める」の両方について、対応策・工夫の概要を解説してきました。

そもそも、「論理的な解」を導くと言っても、そのための検討時間の大半は、「想像力(具体的なイメージ)」を発揮することに利用されていました。

そして、「論理的」に考えている場面であっても、単に「フレームワーク」「ロジックツリー」などの「論理思考のツール」を使っているわけではありませんでした。「誰の立場で考えるか」「どんな場面(フロー)をイメージするか」「どの視点・切り口の間の関連性を考えるか(紐づけるか)」などの「何を検討すべきか、全体像を整理したうえで、1つずつ検討する内容を選択していく」というアプローチが中心になっていました。

これらのアプローチにおける検討は、いずれも「問い特有」の思考であり、フレームワークのような「一般化・汎用化された手法」による思考とは、根本的に異なる点に注意が必要です。

そして、このような「問い特有の思考」を自力で実施できるようになるためには、「抽象的な方法論」の学習だけでは不十分です。「具体的な問い」をたくさん解きながら、少しずつ慣れていく(少しずつミスを減らしていく)という学習手法が有効です。

このような学習を進めていくうえで、具体的な問いとして「ケース問題」を利用しながら、「今回の記事で紹介したさまざまな工夫」をご活用いただけますと幸いです。

白木 湊 東大ケーススタディ研究会メンバー

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しらき みなと / Minato Shiraki

2011年、東京大学理学部卒業。2013年、東京大学大学院理学系研究科修了。同年より外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントとして勤務、マネージャーとしてさまざまな企業のコンサルティングに従事する。2021年より日系コンサルティングファームのマネージャー。

大学院修了以来、大学生や新社会人を対象に「論理思考」に関する個別指導を続ける。直近4年間では、継続的な指導を受けた学生の受講者の73%が、外資の戦略系ファームから経営コンサルタントとしてオファーを得ている(国内系のファームを含めると82%)。論理思考に関するWebコラムも多数執筆。

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