「思考が深い人」「浅い人」そもそもどこが違うのか 東大生も感動した「伝説の"論理思考"講座」後編

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補足2:さまざまな切り口を追加で紐づけていく

さて、先ほどの検討例は、あくまで「初期課題」を導いているだけです。そのため、引き続き深掘りを続けて、「より深い課題⇒打ち手」へと深めていく必要があります。

このときに有効な工夫は、先ほど解説した工夫と、ほぼ同じです。引き続き、その時点の課題に対して、他の切り口を紐づけていくことが有効です。

ただし、3つ以上の切り口を一括で紐づけて検討するのではなく、いずれかの1つの切り口に、新たに切り口を紐づけていくことが有効です。

たとえば、上記のフィットネスの検討例の場合、「時間帯」「客層」のうち、「時間帯」のほうに「コスト(固定費+変動費)」の切り口を紐づけて2軸の表を書いてみたうえで、「すいている平日昼に、年配者の客数を増やす」という現時点の課題を、より深めることができないか、考えてみることになります。

補足3:紐づけの候補となる切り口を、先に洗い出しておく

さて、「切り口の紐づけ」を繰り返していくことで、より深い課題・打ち手へと深めていくことになります。このとき、「打ち手例2(※本記事の2ページ目)」でも示したとおり、紐づけるべき切り口は「数が多い」うえに「種類も多様」である点に注意が必要です。

そのため、「”感覚的”に思い付いた切り口を紐づけていく」という流れでは、紐づけることができた切り口の数が少なくなる(深掘りが不十分に終わる)可能性が高くなります。

このようなミスを防ぐためには、「紐づけの候補となる切り口を、先に一覧化しておく」ことが有効です。そのためには、「思考を深める」検討に入る前に、まずは第2回(「思考が狭い人」「広い人」分ける頭の使い方のコツ)で解説した「思考を広げる」検討を入念に実施して、多様な切り口を洗い出しておくことが有効です。

※補足: 加えて、試しに紐づけてみた2つの切り口から、必ずしも課題が導けるわけではない点にも注意が必要です。たとえば、先ほどの検討例では、課題が導出できる「客層」と「時間帯」の切り口の紐づけの例を示しましたが、この検討の手前には「課題を導けなかった”切り口の紐づけ”の検討」が複数存在しているはずです。つまり、課題を導くためには、多くのパターンの切り口の紐づけを試してみる必要があります。そのためにも、「紐づけの候補となる切り口を、先に一覧化しておく」ことが有効です

工夫2:「既存の打ち手を逆算」して課題を抽出する

さて、上記の「切り口の紐づけ」は、論理を「積み上げる」ことで、少しずつ課題を深めていくというアプローチといえます。

基本的には、この「積み上げ」の方法がメインになりますが、一方で「既存の打ち手から課題を”逆算”する」というアプローチも有効です。

たとえば、フィットネスの問いの場合、もし「フィットネスクラブの店舗の見学」をした経験があれば、「平日昼の利用限定だが、価格が安い料金プラン」や「平日昼に多くの運動教室を開催している(客数が少ない時間帯なのに)」という情報・打ち手を見たことがあるかもしれません。

その場合、「なぜこのような打ち手を実施しているのか」を考える(逆算する)ことで、「平日昼の客数を増やしたい」という課題を導くことも可能です。

1.注意:既存の打ち手の逆算”だけ”では不十分

ただし、この「逆算」による課題特定には、いくつか難点があります。

・「既存の打ち手がすでに対象としている課題」しか導けません。つまり、多様な課題を広く洗い出すことは困難です。そのため、先ほどの「切り口の紐づけ」のような「積み上げ」による課題特定が、別途必要になります。
・「逆算した課題」は、上記の例のとおり、深さが不十分であることが大半です、そのため、逆算して導いた課題をさらに深めていくために、「切り口の紐づけ」のような「積み上げ」による深掘りが、追加で必要になります。

一方、打ち手の逆算による課題特定は、「既存の打ち手が対象としている課題なので、重要課題である可能性が高い」という側面もあります。つまり、効率良く重要課題を特定しやすいため、実際によく実施されている思考でもあります。

そのため、あくまで「積み上げ(切り口の紐づけ)」による深掘りが「メイン&必須」ではあるものの、「既存の打ち手の逆算」による課題特定も併用していくことが有効です。

次ページまとめ:「思考を深める」ときのポイント
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