注目したいのは、若年層の推移です。1990~1994年では、男性でも達成率80%超、女性に至っては、ほぼ100%です。これは、結婚を希望する20~34歳の独身女性は1990年代前半まではほぼ全員が結婚できたということになります。その後、2005年にかけて大きく減少し、男女ともに6割を切っています。要するに、「結婚したいのにできない」未婚が34歳までに4割も残されていることになります。
つまり、これは「結婚できない若者」問題ということになるのです。
「結婚したくない」や「結婚する必要性を感じない」独身男女が生涯未婚を貫いたとしてもそれこそ「選択的非婚」であり、その個人の決断は尊重されるべきものだと思います。が、「結婚したいのにできない」人口が年々増えてきていること、しかも、それが若者に集中していることは憂慮すべき問題です。
「選択的非婚」が増えている背景
そもそも「選択的非婚」割合は、男女とも40歳以上を機に増加します。20代の頃からずっと非婚だった人ももちろんいるでしょうが、40歳までは「結婚したい人口」の一員だったかもしれません。
そこまでの過程で、今後も「結婚する相手が見つからない」「結婚できる経済的余裕がない」あるいは「染みついた生活習慣により、もう結婚する必要性を感じなくなった」ことで、「選択的非婚」への鞍替えをした人もいるでしょう。
中には、本音ベースでは「結婚したい」のに「結婚できない」という現実に対する認知不協和から、心を安心させるための理屈づけとして「私は結婚なんてしたくないのだ・不要なのだ」と思い込もうとしている人もいるかもしれません。「選択的非婚」が増えている背景には、若いうちに結婚したいのにできなかった大勢の「不本意未婚」が隠れています。
「男女とも年齢を重ねれば重ねるほどハードモードになるのだから、本当に結婚したいなら、若いうちに結婚しておけ」と言うは易く、行うは難しです。
今の高齢既婚者が恩恵を受けていたお見合いや職場のお膳立てもなくなり、30年間全然あがらない給料という経済環境の中で、さらにはコロナ禍の行動制限などによって、そもそも出会いの機会すら剥奪されてしまった若者たちにとっては、本人のやる気や努力の問題ではないと言いたくもなるでしょう。
単に、平均初婚年齢推移だけを見て「晩婚化」などと断じるのは適当ではありません。「選択的晩婚」ではなく、「結果的晩婚」である場合も多いからです。
少子化の問題は、基本的には婚姻数減少の問題です。子育て支援の充実それ自体は否定しませんが、現在の少子化対策で婚姻数が回復できるとは思いません。
結婚したいと願っている若者が、若者であるうちに結婚できない。そんな「結婚したいのにできない若者が4割」も存在する状況こそもっと真剣に向き合うべき問題ではないでしょうか。
もともとあった若者の希望を、若者自身が打ち消して「最初から希望なんてしなかったことにしよう」と無理やり納得させなきゃいけない世の中はどうなんだろう、と思います。
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