池上彰さん解説「ゼレンスキー氏」各国演説の中身 「日本国民に伝えたかったこと」とは何か?
ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会で演説をした。各国で人々の心を打つ言葉を紡ぎ出してきた。なぜ感動を呼ぶのか。AERA2022年4月4日号の記事を紹介する。
予測されていた日本での演説の内容
ゼレンスキー大統領の演説が終わったとき、「あれ、自分は何を期待していたんだろう」と思ってしまった。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、世界各国の議会に向けて、対ロシアの戦いへの支援を呼びかけてきた。どこの国に対しても、その国の国民の琴線に触れるような題材を選び、その国の国民がみんな知っているフレーズを引用して共感を集めてきた。その手法は見事なものだった。
では、日本の国民に対しては何を語りかけるのか。演説の前からテレビのワイドショーやニュースでは、この話でもちきりだった。
ウクライナへの空爆をヒロシマ、ナガサキになぞらえるのではないか。
ロシアによって不法占拠されている北方領土に言及して、ウクライナの人たちへの共感をかき立てるのではないか。
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