通常の感覚の持ち主であれば、独裁者の考えていることはあまり理解できないはずだ。それに、少なくともこの国に暮らす私たちにとって、そういった人間がもたらす影響は直接的に実感しづらくもある。少なくとも、数週間前まではそうだったのではないか。
しかし状況は変わってしまった。
核兵器の脅威が、ここまで身近なものになるとは思いもしなかった──そう感じている方は、決して少なくあるまい。ウラジーミル・プーチンという独裁者が行っていること、これから行うかもしれないことには、残念ながらそれほどのインパクトがあるのだ。
だから私たちはいま、「なぜこんなことになったのか?」を知りたいと感じているわけだが、なにしろ相手は理解の及ばない人格の持ち主だ。では、どうしたらプーチン氏の頭の中を探ることができるのだろう? それは非常に難しいことでもあるが、なんらかのヒントになりそうな媒体も存在する。
たとえばその1つが、『プーチン幻想 「ロシアの正体」と日本の危機』(グレンコ・アンドリー著、PHP新書)だ。ウクライナ人である著者はここで、日本人の大多数が知らないプーチン氏の本性、そしてロシアの正体を明かしているのである。
日本人のロシア幻想、プーチン幻想を解く
そこで、私は本書でウクライナ人として持っている知識や自然の感覚から、日本人のロシア幻想、プーチン幻想を解きたいと思います。(「はじめに」より)
著者によれば、ここで明かされている程度のロシアに関する理解は、ウクライナの一般人にとっては常識なのだそうだ。少なくとも、ここに書かれたロシアの本質を知らなければ、日本人はロシアやプーチン氏とのつきあい方を誤ってしまい、ひどい目に遭う恐れがあるともいう。
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