日本人がプーチンに抱いていた6つの大きな誤解 今起こっていることとも見事に結びついてしまう

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そのうえ、プーチンがオリガルヒを追放し、富をロシア国家に戻した、という話も嘘である。プーチンは自分に楯突いたオリガルヒのみを追放し、従ったオリガルヒは優遇した。むしろプーチン時代のオリガルヒはプーチン政権以前のオリガルヒより何十倍もの財産を持っており、プーチンが権力を取ってからのほうがオリガルヒによるロシアの富の独占は遥かに進んでいる。(180ページより)

最も多くの財産を独占しているのはプーチン本人

そんな体制だからこそ、億万長者になっているのはプーチンの幼なじみや元部下など側近ばかり。当然ながら最も多くの財産を独占しているのはプーチン本人なので、オリガルヒを追放した弱者の味方=国家金融資本と戦う勇者であるはずがないのだ。

⑥プーチンは本当にやむをえない場合にしか暴力を使わない?
プーチンの出身組織であるKGBにおいて、暴力を振るうことと、人を殺すことはやむをえない最後の手段ではなく、最初から使われる通常手段である。実際にプーチンが権力を取ってから、彼は平気で大量に人を殺している。強調するが、一人や二人ではない。暗殺命令では数十人、謀略では数百人、プーチンが起こした戦争では数万人が殺されている。(181ページより)
『プーチン幻想 「ロシアの正体」と日本の危機』(PHP新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

そんな暴力が「やむをえない」のだという主張は決して成り立たず、最初から人を殺すつもりで実行した犯罪以外のなにものでもない。しかし彼にとっては権力の維持や利益追求だけが目的であり、それ以外は手段にすぎないのだ。

“6つの誤解”に対する著者の見解は、プーチン氏の実像を見事に言い当てている。恐ろしいのは、それらがいま起こっていることとも見事に結びついてしまうことだ。

はたしてこれから、彼はどう進もうとしているのか。私たち自身の未来のためにも、直視し続けて行かねばならない。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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