そのうえ、プーチンがオリガルヒを追放し、富をロシア国家に戻した、という話も嘘である。プーチンは自分に楯突いたオリガルヒのみを追放し、従ったオリガルヒは優遇した。むしろプーチン時代のオリガルヒはプーチン政権以前のオリガルヒより何十倍もの財産を持っており、プーチンが権力を取ってからのほうがオリガルヒによるロシアの富の独占は遥かに進んでいる。(180ページより)
最も多くの財産を独占しているのはプーチン本人
そんな体制だからこそ、億万長者になっているのはプーチンの幼なじみや元部下など側近ばかり。当然ながら最も多くの財産を独占しているのはプーチン本人なので、オリガルヒを追放した弱者の味方=国家金融資本と戦う勇者であるはずがないのだ。
⑥プーチンは本当にやむをえない場合にしか暴力を使わない?
プーチンの出身組織であるKGBにおいて、暴力を振るうことと、人を殺すことはやむをえない最後の手段ではなく、最初から使われる通常手段である。実際にプーチンが権力を取ってから、彼は平気で大量に人を殺している。強調するが、一人や二人ではない。暗殺命令では数十人、謀略では数百人、プーチンが起こした戦争では数万人が殺されている。(181ページより)
そんな暴力が「やむをえない」のだという主張は決して成り立たず、最初から人を殺すつもりで実行した犯罪以外のなにものでもない。しかし彼にとっては権力の維持や利益追求だけが目的であり、それ以外は手段にすぎないのだ。
“6つの誤解”に対する著者の見解は、プーチン氏の実像を見事に言い当てている。恐ろしいのは、それらがいま起こっていることとも見事に結びついてしまうことだ。
はたしてこれから、彼はどう進もうとしているのか。私たち自身の未来のためにも、直視し続けて行かねばならない。
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