渋谷109に登場「よつ葉乳業」期間限定店の正体 「よつ葉のバター」は有名だけど、アイスって?

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同社の特徴の一つを理解するよすがとなるのが、40年以上もの間綿々と続いてきた、独自の「共同購入」という仕組みだ。購入を希望する人が集まってグループを作り、一括購入をするもので、こうしたグループが現在関東地区に28、関西地区に11、その他中部、北陸など約40拠点ある。

関東に多いのは、最初に共同購入を始めたのが東京都の消費者グループだったからだろう。1971年に「よつ葉3.4牛乳」を分析し、「脂肪率が3.5以上あり、重金属や農薬の汚染がまったくない安全な牛乳」という結果を受けて、当時道外で販売されていなかったよつ葉牛乳を東京でも入手できるよう、企業にかけあって仕組みを整えたのだという。

「食の安全・安心を求める気持ちに応える」

ただ、組織的な生協宅配・インターネット通販やスーパーマーケットの品揃え拡大など、消費者がこだわり商品を購買する際の選択肢が増えたこともあり、共同購入グループは一定の数にとどまっているという。

なお、共同購入では一般に流通していない商品が入手できる。一般的な牛乳より低い温度で殺菌された牛乳や、遺伝子組み換え飼料不使用、放牧生産者指定といった、会員のニーズを取り入れて開発された牛乳などだ。

つまり、同社の特徴としては、食の安全・安心を求める気持ちに応える、ということが一つ挙げられるだろう。共同購入によって長年培われた品質への信頼が底流となって、同社の評価を押し上げているようだ。

また、同社の認知度向上には、コロナも一役買っていると言えるかもしれない。まずは、オンラインストアを利用する人が増えたそうだ。これを受けて同社では2021年10月にオンラインストアの大幅リニューアルを実施し、取り扱い品数も増やした。結果、売り上げにして前年比20%程度はアップしているそうだ。

コロナの社会状況により、消費者にとって「産地」がより見えやすくなったことも背景にある。消費者と生産者を結びつけようとする動きは飲食業界の一部で強まっていたが、コロナ禍では身近なところでそうした動きが広まったのだ。例えばポケマルなど産地直送通販を利用する人が増え、生産者と消費者のつながりが生まれた。家庭で調理し、食材について考える機会が増えたのもプラス要因だろう。

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