さて、ここまでですでにお気づきかと思われますが、「フリーとして働く」には、「個々人の過去の実績」によるところが非常に大きいのです。
つまり、いきなり個人がフリー宣言して「何かできませんか?」という状態ではまったくもってダメです。過去の実績や経験をテコに「私はこういうことができるので、一緒に仕事をしませんか」と説明し、それを買ってもらう必要があります。
お客さんから買ってもらうためには、資格などは関係ありません。ビジネス経験のない有資格者よりも経験のある無資格者のほうが、少なくとも短期的には優秀だったりするのはご存じのとおりです。ですから、資格に頼るべきではありません。
よくビジネスは「ヒト、カネ、モノ」と言いますが、個人がフリーエージェント的に働く場面を考えると、重要なのは「過去の実績と信頼」です。そしてその両方とも、過去の積み重ねの上に成り立つものです。
自分マーケティングを行う
ところでFさんは元会社社長とのことです。その社長という肩書を誇るのではなく、個人としてどのようなスキルや経験を持っているか、などをしっかり振り返りましょう。要は「自分マーケティング」をキチンとしましょう。
それらを整理する中で、仕事に使えるものと使えないものが見えてくるはずです。繰り返しですが、会社の看板だからこそできていた仕事もあるため、その見極めは重要です。
そして小さくスタートし、経験を徐々に積んで手を広げていく、というのがいちばん確実な方法なのだと思います。
ポイントは、顧客が、一個人としてのFさんに発注をしたい、と思わせる何かを持っているか、だと思います。繰り返しですが間違っても、ここで一から勉強すればフリーとして活躍できるようなものではありません。それでは社会人経験のない学生でも勉強すれば誰でもフリーになれるのか、という議論になってしまいます。
66歳にして新たな挑戦する姿勢にあこがれますし、そういった方が増えると、日本もより元気になると思います。ただ新しい挑戦といっても、ご自身の今までの経験の積み重ねを大切にしてほしい、という趣旨で回答をさせていただきました。貴重な経験を活用し、後に続く世代のお手本となっていただければと思っております。
※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。
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