フリーで活躍できるか否かという問いは、要は「会社の看板ではなく個人の実力で仕事を受けられるか否か」、と同じ問いになると思います。
本連載でも、現在所属する会社のみで通用するような会社固有のスキルではなく、個人として他社へも持ち運びできるスキルを磨くことの重要性を再三、説いています。なにも転職をすることを勧めているわけではありません。会社や自分の身になにかあったときの「個人としてのセーフティーネット」を作ろう、ということです。そして、新人の頃から、そのことを意識しているような人が、結果的にフリーになったとしてもやっていけるのではないでしょうか。
よくある話として、大企業の部長を退職したら、それまでチヤホヤしてくれていた元部下や取引先の人間があいさつにも来なくなった、という喜劇があります。こういうケースはその方個人ではなく、ただ単にその会社なりポジションに力の源泉や魅力があった、ということであり、個人としてやっていける人とは正反対のパターンなのでしょう。よほど自分自身で意識をしないと、この会社の実力と個人の実力の見極めは難しいということの裏返しなのかもしれません。
余談ですが、たとえば「ホスト」の世界でも、独立したらすっかりお客さんが付いて来なかったというケースもありますので、こうした話は会社員に限った話ではないのかもしれません。
では、どういった人がフリーになってもやっていけるのでしょうか。
会社の看板か、個人への信頼か
私の知り合いの中には、複数名、個人として独立し、それまで勤務先の会社で受けていた仕事を、今度は個人としてそのまま受けている、という方がいます。そういった方の特徴は、やはり勤め人として会社に所属していた頃から、外部から直接指名で仕事をもらっていた、あるいは会社員時代から独立した心意気を持って仕事にあたっていた、ということだと思います。
つまり、仕事が勤務先の会社にひも付いていたわけではなく、その方のいる会社にひも付いていた、ということでしょう。もちろん最初は会社の看板で仕事を受注したのでしょうが、仕事をするうえでの信頼や実績を通じて徐々にその方個人にひも付いた、ということなのだと思います。
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