「仕事の借りは仕事で」ではメンタル復活しない訳 凹んだ「自己肯定感」を復活させる正しいコツ

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自己肯定ならなんでもいいというわけではなく、脅威に晒された「顔」以外、いわば、ヘコみの外での自己肯定ができなければいけません。これが自己肯定理論を実践するための最重要メッセージです。

ヘコんだ「顔」とは違う「顔」で自己肯定をすることは、決して問題から逃げるということにはなりません。むしろ、問題から目を背けようとする心のクセを抑えて、現実を受け入れる心の準備を整えてくれるのです。

例えば、こういうことです。仕事でヘコんで、家に帰り、いつものままの家族と過ごしたとき、明日また頑張ろうと思える。そうした場合、自己肯定理論によれば、自分の仕事の役割とは別の家族の中での役割で自己肯定ができたと解釈できます。

そして、もちろん、明日仕事に行っても、もともとの仕事で起きた問題自体は未解決のまま残っているわけですが、家族による自己肯定で自分自身の心の安定を維持することができたので、もともとの問題に向き合うための心の準備ができているのです。

いわば、自分の心が傷ついたとき、その傷に直接薬を塗ろうとしても激痛のため難しいので、まずは、そのほかの部分をケアすることで、心全体として傷を癒す準備を整えることができるのです。

プレッシャーにも強いメンタルを作る

そして、ヘコみの外での自己肯定は、実際にヘコんだときの対処の方法を与えてくれるだけではなくて、将来に起こるかもしれない心をヘコます状況に備えて、強いメンタルをつくるのにも役立ちます。

まず、ヘコみの外の自己肯定で違う価値観や違う意見に、よりオープンな気持ちを保つことができます。

自分と違う意見は心への脅威となりかねません。特に自分がとことん信じ込んでいることを否定するような考えはなおさらです。そのため、異なる意見に出くわしたときに、否定的になってしまったり、真剣に取り合わない態度になってしまったりするのは、私たちの自然な心の傾きです。

ヘコみの外での自己肯定ができると、そうした私たちの心の働きを和らげることができ、違った意見や新しい情報に、よりオープンでいられるようになるのです。

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