「仕事の借りは仕事で」ではメンタル復活しない訳 凹んだ「自己肯定感」を復活させる正しいコツ

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必要なときに意識してむりやりすると、ヘコみの外での自己肯定や自己確認の効果が出ない。であれば、日頃から自分の習慣の一部として取り込む。毎日のありふれた生活の一部として自己肯定や自己確認ができる習慣をルーティン化しておくことで、特定のときに意識する必要なしに「ヘコみの外での自己肯定」が自然とできているようにするのです。

意識してたまにやるのではなく、いつも無意識にやっている状況がつくれるように、ヘコみの外での自己肯定のルーティンを自分の習慣に組み込んでいきましょう。

お勧めのルーティンは、やはりなんと言っても、その日にあったことや思ったことなどを書き留めておく、ジャーナリング(日記)です。

ジャーナリングでポジティブに

ジャーナリングは心理療法の一つの手段として長きにわたり使われてきており、心の健康を保つツールとして、その効果は脳科学のレベルでも実証されてきました。さらに、脳のワーキングメモリーが活性化されたり、睡眠の質が上がったりするなんていう効果もあります。そんな「万能の心の健康ツール」であるジャーナリングは、もちろん、自己肯定感にも抜群の効果を発揮します。

自分の考えを書きだすことによって、自分自身と向き合い、自己確認、さらには、自己肯定につながる。いろんな心や体の健康、自己肯定感などのすべての効果を一気に欲しい方にお勧めのルーティンです。

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ジャーナリングは少しハードルが高いという方も必要以上に構えることはありません。数行でも構わないので、自分の感じたことを箇条書きにしてみましょう。

特に、脅威に晒されながらも、いつもポジティブに感じていたい自分の「顔」があれば、それ以外の「顔」のことについて、毎日書いていくのが良いでしょう。

例えば、仕事でポジティブでいたいなら、友人関係や趣味での出来事など仕事以外のことを書き留めるように習慣化していくのがお勧めです。または月曜日は仕事、火曜日は家族、などと曜日などによって定期的にトピックを変えられるようにするのもいいでしょう。

このように、1日の終わりに日記を書くことは、「ヘコみの外の自己肯定」効果で、仕事以外のところで自己肯定できるようになり、仕事での心の脅威に立ち向かう力を与えてくれるのです。

星 友啓 スタンフォード大学・オンライン高校校長 哲学博士

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ほし ともひろ / Tomohiro Hoshi

スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長。哲学博士。1977年生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。その後渡米し、スタンフォード大学哲学博士を修了。同大学の講師を経てオンラインハイスクールの立ち上げに参加。2016年より校長に。オンライン教育の世界的リーダーとして活躍。『全米トップ校が教える自己肯定感の育て方』など著書多数。
公式サイト/https://tomohirohoshi.com

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