SUBARUの水平対向エンジンは「永久に不滅」か? カーボンニュートラル燃料でレース参戦の本音

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スーパー耐久ST-Qクラスに参戦した「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」(写真:SUBARU)

今、スバルを愛する「スバリスト」にとって、とても気がかりなことがある。それは、グローバルで高まる「2050年カーボンニュートラル」というトレンドの中で、スバル車の真骨頂である水平対向エンジンが「今後も継続できるのか」ということだ。

スバリストのみならず、当のスバル本社の経営陣や開発陣、そしてスバルの販売店も抱いている大きな課題である。そうした中、水平対向エンジンの未来に向けた、一筋の光が見えてきた。

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2022年3月18~19日、三重県の鈴鹿サーキットで「スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第1戦 SUZUKA5時間耐久レース」が開催された。 44番ピットには、ゼッケン61番のスバル「BRZ」の姿がある。

61の数字は、スバルブランドの象徴である“六連星(むつらぼし)が勝つ(1番になる)”という意味が込められたもの。日本国内で最大級の人気を誇る4輪モータースポーツのスーパーGTで、スバルのレース活動を行うSTI(スバルテクニカインターナショナル)が走らせるBRZにも付けられている。

WRCと同じカーボンニュートラル燃料を使用

スーパーGTを走るBRZが市販車とはまったく異なる純粋なレーシングマシンであるのに対し、スーパー耐久ST-Qクラスを戦うBRZは、2.4リッターエンジンや車体など量産車と“ほぼ同じ”だ。そのうえで、大きな特長が2つある。

1つは、燃料に「カーボンニュートラル燃料」を使うこと。カーボンニュートラル燃料とは、植物由来のバイオマス燃料や再生可能エネルギー由来の燃料などを融合して、ガソリンやディーゼル燃料に近い組成として精製する燃料の総称だ。スバルとトヨタ(車種はGR86)は共同でカーボンニュートラル燃料を使用し、スーパー耐久 ST-Qクラスに臨む。

マシン後部に設けられたカーボンニュートラル燃料用の燃料給油装置(筆者撮影)

ガソリンにかなり近い組成の液体カーボンニュートラル燃料を使うことで製造過程でのCO2排出量を抑え、排ガス中のCO2排出量を相殺し、カーボンニュートラルを目指す考えだ。

鈴鹿サーキットでの記者会見でトヨタのエンジン開発者は、「WRC(世界ラリー選手権)で今シーズンからコントロール燃料(参戦全車で共通利用が義務付けられた燃料)として、ドイツ・P1パフォーマンスフューエルズ社の燃料を使っており、スーパー耐久でもトヨタとスバルでこれを使う」と説明する。

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