SUBARUの水平対向エンジンは「永久に不滅」か? カーボンニュートラル燃料でレース参戦の本音

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技術目線でいうと、いろいろな規制がだんだん明確になってきて、ぼやっとした輪郭がかなり絞られてきたイメージがある。

トヨタやマツダと比べると商品の選択肢は少ないが、そもそもスバルはニッチ(な商品でありブランド)だ。すべてのユーザーではなく、スバルを望んでいるお客様(の心)にしっかり刺さっていく(商品である)ことが必要だ。逆に言えば、選択肢が少ないことが(スバルにとっての)弱みではないと思っている。それをどう尖らせていくかが重要。

スバルがスバルであり続けるための商品を出していく、ということだ。世の中がBEVだから、スバルもBEVを出すという考え方ではない。それでは(市場の中で)埋没しまう。技術アイコンとしての水平対向エンジン、アイサイト、シンメトリカルAWDだけではなく、価値として(スバルらしさとは)何なのかを極めて、勝負していきたい。

悔しさにじむ結果と課題

スバル経営陣との意見交換をした翌日の19日。決勝レースは、午前11時45分にスタートを切った。BRZはST-Qクラス2番手で、総合ではガチンコライバルのGR86より2つ上の31位からのスタートだ。

BRZ、GR86の順でコーナーに進入していく様子(写真:SUBARU)

レース序盤、BRZのラップタイムは2分25秒台で、GR86と一進一退のバトルを展開。レース開始後、約1時間半で最初のピットインを行った。本井監督によれば、この展開は「想定通りで、特に問題はない」という。

50周を過ぎたころにGR86とのバトルを展開するも、ルーティーン(計画通りの)ピットを進める中で、レース後半はGR86に30秒ほどのリードを許す。そして、16時45分にスタートから5時間が経過し、ST-Qクラス2位にGR86、クラス3位がBRZという結果でレースは幕を閉じた。

レース後、本井監督は「悔しい。(レース全体の流れは)想定通りの展開だったが……」と語り、「狙いはGR86に勝つことだった」という本音がにじみ出ていた。同時に、「スバルのクルマとして、ドライバーに対してもっと“安心安全”なマシンにしていきたい」と、量産車開発に直接携わる者としての視点を忘れず、課題を掲げた。

BRZのリアガラスに掲げられた「意志ある情熱と行動」の文字(筆者撮影)

「意志ある情熱と行動」

BRZのリアガラスに大きく掲げられてる、スバルとしての意気込みだ。これは単に“レースで勝つ”ということだけではなく、これから本格化するカーボンニュートラル時代をスバルとしてどう生き抜いていくのか。その中で、水平対向エンジンをどのように進化させるべきかのか。

そうした視点で、スバルにとっての自問自答を表現した言葉なのだと思う。今回のレースは、スバルの未来に対する思いが具現化された第一歩だったと、2日間を通じて現場で実感した。

桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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