フェラーリは2021年を通して、前年比23%増のおよそ48億ドルの売上高を達成した。年間販売台数も過去最高の1万1155台を記録しており、前年比22%増である。
近年における販売台数の推移を見ても、2020年はコロナ禍の影響で少し落ち込んだものの順調に伸びており、好調そのもの。そう、ウォール街の予想をも大きく上回る収益を上げ、投資家からも注目を集めているのだ。
ちなみにフェラーリは、一般的な自動車メーカーとしては考えられないほどの少量生産メーカーであり、また希少価値を維持するために、高い人気を保っているモデルでも戦略的にニューモデルへと入れ替えが行われる。各モデルの市場における希少性を重視するのが、伝統的な戦略なのだ。
フェラーリは基本的に受注生産がベースであるから、注文を入れてから顧客の手元に車両が届くまでにはそれなりに時間がかかる。ニューモデルであれば2年くらい待たされることも珍しくない。
だから「年間販売台数」よりも、どれだけ受注しているかという「受注獲得台数」の方が、フェラーリのビジネス環境をジャッジするために重要となる。
PHEVのフェラーリ「296GTB」
2020年には前述のように前年よりも販売台数が落ちているが、これはコロナ禍のために生産ラインが一時的に止まったことと、複数のニューモデルの導入が重なったためで、受注獲得台数は順調であったという。
この受注獲得台数は、2022年に入ってからも絶好調だ。新しいアーキテクチャに、これまで主力であったV8 ICE(ガソリンエンジン)に代わってV6 PHEV(プラグインハイブリッド)パワーユニットを搭載したニューモデル「296GTB」は、世界中で大きな反響を呼んでいる。
フェラーリのDNAはかつて12気筒エンジンにあったが、昨今販売の主力は8気筒エンジン搭載モデルだ。しかし、最新の3.9リッターV型8気筒エンジンですら、これからさらに厳しくなる排ガス・燃費規制への対応が難しくなってきた。
さらにフェラーリ独特の甲高いエクゾーストノートも騒音規制の強化のため、その存続が危うくなっている。大排気量スポーツカーにとって、受難の時代がきているのだ。
そこでフェラーリは、ダウンサイジングした6気筒エンジンとPHEVシステムを組み合わせることで、パフォーマンスを落とすことなく、厳しい規制に対応させる道を選んだ。
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