SUBARUの水平対向エンジンは「永久に不滅」か? カーボンニュートラル燃料でレース参戦の本音

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また、この燃料を使ううえで、ガソリンエンジンに対して部品を大きく変える必要はないが、「(現状では)シリンダー内の点火タイミングを遅くする(遅角)対応をしている」(トヨタ)と述べた。

なお、このGR86の搭載エンジンは、スバル製の2.4リッター水平対向エンジンではなく、ヤリスの直列3気筒エンジンをベースに改良した1.4リッターターボエンジンを使う。

違うエンジンを使うと聞くと、ますます「GR86とBRZの共通性がなくなり、水平対向エンジンはスバルだけになってしまうのか」と不安になるスバリストも少なくないだろう。GR86の量産開発統括者は、1.4リッターターボは「あくまでもレース専用だ」として、量産化の可能性について明言を避けた。

もう1つ、スーパー耐久BRZの特長は、開発やチーム運営などをスバル本社社員が直接、行っている点だ。

ピット作業などもすべてスバルの社員が行った(筆者撮影)

監督はスバル研究実験センター長の本井雅人氏、チーフエンジニアはボディ設計部の竹内源樹氏、そして2人のプロドライバーに加えて車両運動開発部の廣田光一氏がステアリングを握る。

スバルの社員100人で参戦

チーム名称は「Team SDA Engineering」としており、「SDA」はスバルのエンジニアの運転スキルと評価能力を高める人材育成の取り組みである「スバルドライビングアカデミー」を指す。

本井チーム監督は「このプロジェクトに関わる社員は総勢約100人。皆、通常業務をこなしたうえで参加している」と、全員野球体制での社内活動であることを強調した。

予選が行われた18日の昼過ぎ、44番ピットの様子を覗いてみた。

ピット内で作業するクルーたち。マシンはカラーリングやタイヤなどが異なるほかは、市販車とそれほど変わらない(筆者撮影)

チームメンバーは20代が多く、ベテランのレース関係者の1人は「スバルにとってすべてが初めてのことで、若手メンバーはかなり緊張している」と現場の空気感を教えてくれた。

マシンをしっかりと見てみると、たしかにエンジンルーム内は量産車と変わらない。車内はドライバーの安全のためロールゲージに囲われているが、「将来的にアイサイトのステレオカメラを活用することも視野に、ロールゲージの形状を変えてある」ともいう。

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