新型「WRX」この形とサイズが必然であった理由 北米でウケる安心と愉しさの“ちょうどよさ"
スバルから新型「WRX S4」が登場した。WRXはスバルのスポーティ志向のセダンで、「インプレッサWRX」として初代が誕生したのは、1992年のこと。当時、世界ラリー選手権(WRC)に参戦していたスバルが、そのベース車とする目的もあって誕生した。
初代インプレッサWRXの誕生から30年を目前とした2021年に第5世代となる「WRX S4」が姿を現したのだ。
ちなみにWRXの最強モデルは「WRX STI」で、WRX S4がトランスミッションにCVTを使っているのに対し、MT(マニュアルトランスミッション)を持つのがWRX S4との大きな違いだ。
WRX S4の名称にあるS4とは、以下の4つのSを意味する。
●スポーツ・パフォーマンス(Sports performance)
●セーフティ・パフォーマンス(Safety performance)
●スマート・ドライビング(Smart driving)
●ソフィスティケイテッド・フィール(Sophisticated feel)
2.0L→2.4Lへと排気量をアップ
新しいWRX S4最大のトピックは、エンジンにある。水平対向4気筒ガソリンターボというスタイルはそのままに、排気量を従来の2.0リッターから2.4リッターに拡大した。
最高出力は300馬力から275馬力へ、最大トルクは400Nmから375Nmへと数値的にはダウンしたが、より低回転域から大きなトルクが出るようになり、中間速度での加速力がアップ。リアルな走りでは、よりコントローラブルで速くなっているという。
また、ボディやシャシー、CVT制御、走行中の姿勢電子制御などもしっかりと進化しており、「AWDパフォーマンスカーとしての究極の一体感」が味わえるようになったという。燃費性能も旧型の11.8km/Lから12.7km/L(JC08モード)へと向上した。
しかし、ここで気になるのが、「環境問題を憂う」世間様との関係だ。
地球環境を協議したCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)は先だって閉幕したばかり。最近の自動車業界は「EVシフト」の話題で持ち切りである。
当のスバルでさえ、ほんの数週間前に初めてグローバルに展開するBEV「SOLTERRA」を発表している。その直後に、環境問題とは正反対のターボエンジンを搭載するスポーツモデルのWRX S4を発表したのだ。いったい、スバルはどういうつもりなのだろうか?
そこで、新型WRX S4の開発責任者(プロジェクトゼネラルマネージャー)である五島賢氏に、その真意を問いただした。
すると五島氏は「会社全体として、環境対応や電動化の方向に向かっていかないといけない」と断りつつも「WRXをやめるという選択肢はまったくなかった」と言う。
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