「スバルの里山」が鴨川市を活性化させる可能性 「絵に描いた餅」で終わらない地域活性へ
スバルは2021年8月、千葉県鴨川市の山間部に「SUBARU里山スタジオ」を開設した。この里山スタジオが自動車メーカーとしてこれまでにない試みだとして、自動車業界内で話題となっている。
簡単にSUBAR里山スタジオを紹介しておこう。この施設は、スバル車のフィールドである「大地と空と自然」をメディア関係者に肌で感じてもらうための場である。特徴は、メーカー主導で大規模な開拓をするのではなく、地域の休遊地を活用し、スバル本社広報部と地元住民との“人のつながり”による草の根活動として維持管理を行うことだ。
詳しくは、8月に掲載した「スバルが千葉に作った「里山スタジオ」とは何か?」を見ていただきたいが、筆者はこの取材のあと、2021年10月発売の「レガシィアウトバック」撮影会に出向き、さらに草の根運動の当事者意識を持つため、敷地内にある「里山ウォーキング細野元名(ほそのもとな)コース」の整備をしたいと自ら手を挙げた。
草刈り用の機器は、SUBARU里山スタジオにホンダ製4サイクルエンジン刈払機(かりはらいき)の準備もあったが、環境を意識してさまざまな電動機器を体感する観点から、マキタの電動刈払機を個人で購入して現地に持ち込んだ。
7年にわたり放置されてきた里山
ウォーキングコース整備の当日、鴨川市農林業体験交流協会など、地元でさまざまな活動に参加している清水宏さんに道案内をお願いした。ここに嶺岡(みねおか)キャンプ場があったころは、年間数千人のハイカーが訪れていたが、最近ではほぼ使用されておらず、草が生い茂り、2019年の台風15号の影響もあって倒木も目立つ。
鴨川市によると、旧嶺岡キャンプ場は2005年に千葉県から鴨川市に移管されたが、利用の大半を占めていた地元の子ども会などが、「鴨川青少年自然の家」や「内裏山県民の森」などほかの施設を使用したことで利用が増えず、2010年に施設として休止した後、2014年に廃止となった。
それから約7年間にわたり、細野地区住民が敷地内の愛宕神社の整備を行う以外は、施設としては放置されてきたという背景がある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら