「スバルの里山」が鴨川市を活性化させる可能性 「絵に描いた餅」で終わらない地域活性へ

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そのうえで、基本理念として「交流のまちづくり」「元気のまちづくり」「環境のまちづくり」「協働のまちづくり」「安心のまちづくり」という、5つの柱を掲げている。

SUBARU里山スタジオは、これら5つの要素を複合的に含んでいると思う。とはいえ、一般的にこうした市町村の地域活性施策は、国が進める地方創生という大きなくくりの中で、「絵に描いた餅」または「笛吹けども踊らず」といった状況になりがちだ。

だが、筆者がこれまでSUBARU里山スタジオに関連して取材等で鴨川市各所を訪れたり、地域の人たちから話を聞いたりするなかで、決して「絵に描いた餅」では終わらないだろうという可能性を感じている。

鴨川市役所の外観(筆者撮影)

市役所の人たちからも地域住民からも、「当事者意識を持って、地域を変えていこう」、そして「積極的に交流の場を増やしていこう」という心意気が感じられるからだ。その理由として考えられるのは、鴨川市の立地とアクセスにある。

鴨川市は、東京都心からクルマや電車で2時間圏内にあり、日帰り観光や農林業体験における交流人口を生み出しやすい地域性があるといえるからだ。また、市が将来構想を明確に打ち出し、それに市民が参画することで、目に見える形の社会変化を起こしやすい環境にあるともいえる。

里山スタジオが鴨川市をどう変えるか?

鴨川市によると、市の人口は昭和25年(1950年)の4万8571人をピークに、平成26年(2014年)以降は年間300人を超える自然減となり、近年では年間400人から500人と減少幅が拡大し、令和2年(2020年)10月時点で3万1720人となっている。

産業構造は、「長狭米」(ながさまい)に代表される農林業が7.8%、卸売り・小売りが14.6%、鴨川シーワールドやサーフィン客などによる宿泊・飲食サービス業が12.1%、そして亀田総合病院に代表される医療・福祉が22.2%という内訳だ。

現時点でSUBARU里山スタジオは、スバルと細野地区の皆さんによる小さなコミュニティーにすぎないが、これからどのように育っていくのか。地域と市の社会変化を、鴨川の地でじっくり感じ取っていきたい。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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