吉野家、「牛すき鍋膳」のヒットに潜む死角 第3四半期は営業利益4倍増と絶好調

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昨年10月に販売を再開した「牛すき鍋膳」(撮影:尾形文繁)

5月と11月は例年、吉野家HDが株主優待を発送する時期に当たる。約25万人いる株主のうち95%が優待を利用することから、割引に伴う引当金や優待の配送料が第3四半期に集中する状態が、ここ数年は常となっている。

さらに、昨年10月末の鍋メニュー販売再開に際して、従業員の負担を軽減するため、コゲが付着しにくい鍋を導入した。こうした理由で第3四半期だけを抜き出せば営業赤字となったが、第2四半期までの貯金も大きく、累計では大幅増益で着地した。

値上げ後も客足は想定ほど減らず

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昨年12月、牛肉関連商品の値上げを発表した河村社長(撮影:梅谷秀司)

鍋メニューが順調に推移する中、第4四半期(2014年12月~2015年2月)の懸念材料の1つが、牛肉関連商品の値上げの影響だ。牛肉価格の高騰を理由に、昨年12月17日から牛丼並盛で300円から380円へと値上げに踏み切った(ともに税込み)

2014年12月の既存店客数は、値上げ実施直前の16日までは前年同期比でプラスが続いていたが、値上げ実施以降は急速に客足が遠のいた。結果的に、同月の既存店客数は前年同月比8.4%減で着地した。

とはいえ、会社側としては「10%以上の客数減を覚悟していた」(広報)ということで、事前の想定ほどは落ち込まなかったようだ。値上げによる客単価の上昇もあり、既存店売上高は前年同月比0.2%増と横ばいを保つことができた。

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