吉野家はなぜ今、「並盛80円値上げ」なのか これが"値上げ発表会見"の一部始終だ
牛丼並盛が300円(税込み、以下同)から380円に――。牛丼チェーン大手の吉野家は12月9日、牛肉関連商品の大幅値上げを打ち出した。価格改定は12月17日15時から実施する。
値上げの対象となるのは、牛丼類で13品目、カルビ類で5品目、定食類で7品目の合計25品目。季節によって若干の変動はあるが、メニュー全体の65%前後に相当する。値上げ幅は30~120円となる。
吉野家は今年4月にも牛丼並盛の価格を280円から300円に値上げしており、1年足らずの間に2度目の価格改定となる。これについて、同社の河村泰貴社長は「値上げ以外に方法はないのか、値上げするにしても少しでも価格を抑えられないか、あらゆる角度から検討した。苦渋の決断だった」と語った。
同社が今回の値上げの理由として挙げるのは、「牛肉の需給バランスの崩壊」(河村社長)だ。2012年に米国で発生した干ばつの影響で、主原料である米国産牛肉の出荷量が激減。その一方で、アジアの新興国を中心に、牛肉の需要が世界的に急増した。
そのあおりを食って、米国産牛肉の冷凍ショートプレート(バラ肉)の価格は、2013年9月の1キログラム当たり550円から2014年10月には1080円まで一本調子で上昇した。その結果、「企業努力だけで牛丼を安定的に供給することが困難な水準に達してしまった」(同)。
今回の値上げの業績に対する影響や、今後の商品戦略について、吉野家はどう考えているのか。河村社長と報道陣との主なやり取りは以下のとおり。
価格改定の影響は読みづらい
――値上げによる売り上げへのインパクトはどう見ているか。
客足にはある程度、(マイナスの)影響があると想定している。新商品の開発やサービスの向上を通じて、これまでどおりご愛顧いただけるよう努力していく。
――業績への影響は?
今回の価格改定の影響は見通しづらい。また、10月29日に再発売した牛すき鍋膳が好評で、これらの影響を読みづらい。今の時点では業績修正は考えていない。
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