吉野家はなぜ今、「並盛80円値上げ」なのか これが"値上げ発表会見"の一部始終だ

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――どうして並盛が380円なのか。

調達コストの増加で年間100億円程度、相場の影響を見込んでいる。来店客数と牛肉の使用量から試算すると、現在のクオリティを維持していくには380円という価格設定が必要と判断した。

――調達コストの上昇を、今回の値上げでどの程度カバーできるのか。

商品の質を落とすことなく、収益構造としては今期と同等を維持できる。継続的、安定的に現在の品質を提供できる。

牛肉価格の再上昇は考えていない

牛肉価格は今年に入って大きくハネ上がった

――値上げに合わせて、味付けなど商品の内容は変えるのか。

牛肉の仕入れ価格の高騰が今回の値上げの要因だ。今回は商品についての変更を行わない。今後、牛丼の品質を高められるよう、企業努力していく。

――1年に2回値上げすることになった。

例年であれば夏には牛肉相場が落ち着くが、今年に関しては一本調子で価格が上昇した。4月に牛丼並盛を300円に価格改定して以降も、さまざまな検討を重ねてきたが、企業努力ではカバーしきれないと考えた。非常に心苦しく思っているが、理解をお願いしたい。

――円安の影響は?また、今後の牛肉価格の見通しは?

輸入しているので、為替の影響も無視できない。だが、今回の牛肉の仕入れ価格高騰は、米国における供給不足と需給の拡大により、需給バランスが崩れた影響が最も大きい。

一方で、1キログラム1000円というショートプレートの相場が今後、1200円、1500円になるとは想定していない。1000円を超えると、ステーキ商材との価格差が逆転するからだ。これから消費環境や経済環境が変わっていけば、その時々に合わせて、牛丼の価格を最適なものにするべく企業努力していきたい。

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