脱炭素の切り札である洋上風力発電。三菱商事連合はなぜ国内初の大型案件を「総取り」できたのか。当事者たちの証言からその内幕を明らかにする。
「再エネ海域利用法」に基づく洋上風力発電プロジェクトの入札第1弾では、三菱商事連合が秋田県および千葉県の3海域いずれにおいても落札するという、異例の結果となった。(「洋上風力 価格破壊ショック」特集はこちらから)
三菱商事が示した衝撃的な落札価格を、敗退したライバル企業はどのように受け止めているのか。J-POWERおよびノルウェーのエネルギー大手エクイノールと組んで、秋田県の2海域に関する入札に参加していた大手エネルギー企業のJERA(東京電力ホールディングスと中部電力が共同出資)。同社で洋上風力の開発を担当する矢島聡執行役員は、「ベストを尽くしたが、認識が甘かった」と今回の入札を振り返る。
――今回の「敗戦」をどう受け止めていますか。
われわれなりに考え抜き、相当のリスクを取った形で応札した。ベストは尽くした。しかし、三菱商事連合が提示した条件に及ばなかった。
(電力部門を統括する)三菱商事の中西勝也次期社長(現・常務)および岡藤裕治エネルギーサービス本部長とも一緒に仕事をさせていただいたことがある。お二方とも敵に回したら大変手強い相手だ。三菱商事は慎重で堅実な会社であり、社内稟議もしっかりしている。考え抜いたうえでプロポーザルを出し、勝利したのだろう。
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