日本と同様、周囲を海に囲まれるイギリスは2000年代初めから洋上風力発電に取り組んできた。世界一の洋上風力大国であるイギリスに学ぶ成長戦略とは何か。
日本政府は、2050年カーボンニュートラル(脱炭素化)実現の柱に洋上風力発電を据えた。
政府が取りまとめた「グリーン成長戦略」では2030年に10ギガワット、2040年に30~45ギガワットの案件形成を目標としている。そして、再エネ海域利用法に基づくプロジェクトとして、長崎県や秋田県、千葉県沖など4カ所の海域を対象に発電事業者の公募作業が進められてきた。すでに長崎県沖で事業者が選定されたのに続き、10月下旬から11月上旬にかけて秋田県沖や千葉県沖でも事業者が決まる見通しだ。
日本と同様、周囲を海に囲まれているイギリスは、2000年代初めから洋上風力発電プロジェクトに着手。洋上風力の累積導入量(2020年時点)では世界首位であり、発電電力量の約1割が洋上風力で占められている。
イギリス国際通商省・再生可能エネルギーチームの洋上風力スペシャリストとして、洋上風力分野の輸出促進に向けての専門的なアドバイスをイギリス企業に提供しているブルース・クレメンツ氏に、日本が参考にすべき知見や日本企業との協業の可能性について聞いた。
今後5年間の投資額は9兆円に
――イギリスの洋上風力発電産業の現状は?
2020年3月時点で、洋上風力発電の設備容量は9.8ギガワットに達している。2030年までにこれを40ギガワットに拡大させる戦略を立てている。総発電量に占める割合も、2020年現在で10%程度に拡大している。
2021年3月に洋上風力発電産業に関する業界団体が発表した資料によれば、イギリスにおける同分野の従事者は現在の約2万6000人から2026年までに7万人近くに達すると見込まれている。関連して、今後5年間に民間部門による投資は608億ポンド(約9兆円)にのぼると見積もられている。
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