実家で老老介護、海外からできることは? 介護は有限でも、悔いは一生です

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【パンプキンからのコメント】

お父様は5年間も、米国での娘家族を支えたのですね。簡単に5年と申しますが、先の見えない5年は並大抵な期間ではありません。婿に研究者として、恵まれた環境の米国で存分に力を発揮してほしいと、お父様も強く願われたのですね。

そのご両親の一大事なのに、問題は、「日本で両親の世話をする場合、米国で教育すると決めた子供のことが心配」ということなのでしょうか。

日本の介護制度は複雑で、私は全容をなかなか理解できないでいます。そんな私ですのでここで偉そうなことは言えないのですが、私ならどうするかというお問いかけですので、次のような努力をします。

まずお父様には何か入院できない事情がおありなのでしょうか。日本では高齢者が3カ月以上は、同じ病院に入院できない規定があるそうです。というよりは社会的な入院を避けさせるために、3カ月を超える入院患者は、病院の収入につながらないシステムになっているためのようですが、一般病棟でも、痰の吸引を頻繁に行う必要がある人などは、例外として認められていると聞きました。

私の80才の知人はこの規定で、一般病院に1年以上入院治療を受けています。別の高齢者の知人は療養型介護施設に入り4~5年経ちました。そこでは意識障害と全身、あるいは半身不随の長期入院者が大勢おられます。特別養護老人ホームは待機者が多くなかなか入居できない、病院は3カ月で追い出されるという情報に、いずれの知人も当初は病院難民を覚悟したのですが、案外すんなりと受け入れられました。

春山様のお父様の場合も、頻繁な痰の吸引に加えて意識障害や半身不随などがおありで、リハビリ付きの療養型介護施設に入院できると思うのですが。入院できればお母様のご負担も軽減されますし、すぐに戻って来る必要はなさそうですね。

都市や地方で事情が異なり、ケアマネージャーもついていて在宅療養をなさっておられるのですから、ほかにも入院できない事情がおありなのかもしれませんね。それならば次なる選択肢ですが。

悔いは一生続きます

実は私はある事情で、車で20分の同じ市内に住む実家の両親の介護どころか見舞うことも、倒れる前のご機嫌伺いもままならず、両親を見送った娘です。結婚後はあまり実家を訪れることができなかったので、両親は私を薄情に思い寂しかっただろうと悔い、その不甲斐なさに自責の念をいつまでも引きずりました。

当時は、実家へ思うように通えない事情の方が、両親の介護より大きい問題だと思ったのですが、その後何度考えても、すべての事情を放ってでも時たまは実家へ通うべきだったと自分を責めております。

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