制度の主人公は国民、担い手としての自覚を--『介護保険の意味論』を書いた堤 修三氏(大阪大学大学院教授)に聞く

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制度の主人公は国民、担い手としての自覚を--『介護保険の意味論』を書いた堤 修三氏(大阪大学大学院教授)に聞く

老後を支える介護保険制度がスタートして10年が経過した。筆者は旧厚生省時代に制度の創設・実施事務にたずさわった経験や、その後の大学教員としての「外からの視点」に基づき、介護保険の「真の意味」を解き明かしていく。

--堤さんは自他共に認める「介護保険の産婆役」でした。介護保険は今や10歳の育ち盛りの子どもです。その成長過程について、「意味論」というタイトルを付けて論評した理由は何ですか。

書店に並んでいる介護保険に関する本は、利用の手引や分厚い解説本ばかり。一般の方々が介護保険を勉強しようというときに、わかりやすく解説した本があまりなかった。

もう一つの理由として、介護保険制度が創設された当時、こういう思想に基づいて制度設計されたということをあまり語ってこなかったという反省がある。10年が経過した今こそきちんと伝えるべきだと考えた。年数が経ち、厚生労働省や市町村の担当者も大部分が異動してしまったからだ。また、制度改革のたびに“建て増し”を重ねた結果、制度の本質から離れたところも目立つようになってきた。制度の本質に立ち返って「意味」を考えていただきたいという思いで筆を執った。

--介護保険を熱気球に例えて制度運営の難しさが述べられていたり、「政策的装いによる制度の煩雑化」が批判されていたり、「本質」を意識した論評が要所にちりばめられています。

制度というものは、それぞれの部材の特性に応じてきちんと組み立てられていなければならない。介護保険を構成している部材はいかなる特性を持っているのか。それゆえにこのような構造になっているということをきちんと理解する必要がある。

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