グローバルM&Aによる事業拡大には世界レベルでの経営戦略を策定する仕組み作りが重要--松枝寛祐・大陽日酸会長


■真のグローバル企業に向けて

最後になりますが、われわれが目指しているグローバル企業というのはどういうものか。これは、各企業によって定義や認識はかなり違うと思いますが、私が考えているものについて触れてみたいと思います。まず、申し上げたように現在当社の海外売り上げ高比率は25%ですが、いずれは50%以上にしたいと思っています。ホームマーケットの比率が大きいときはどうしても海外での売上拡大に力が入りませんが、そういう中での1つの基準として、海外売上高比率が50%近くなったらこれは日本だけでやっているわけにはいかないという意識になるだろうと思います。

この時点までには、日本・北米・アジアを束ねるグローバル本社を設置し、そこには、各地域のトップを参画させる。そういった中で、投資の優先順位や、新たな地域への事業展開など、世界レベルでの経営戦略を立てる体制にしたい。

先ほど申し上げましたように、ローカル人材をいかに活用していくかということも重要です。各地域の事業でのローカル人材の登用と、グローバル本社への参画に耐えうる人材の育成が成功のカギを握ると考えています。

加えて、生産技術、品質管理、サービスなどのグローバル統一基準をいかにわかりやすく皆に周知徹底させられるかということも重要となります。

さらに、将来的に事業エリアをさらに拡大していく際に、北米およびアジアの人材の有効活用も念頭に置いています。アメリカの会社がいいところは、いろいろな人種がいることです。当社のアメリカの子会社であるMatheson Tri−Gas社にも、優秀で多様な人種の人が多くいます。たとえば、南米での事業機会を得た際に、南米出身の人材を起用することで、物事をスムーズに運ぶことができます。さらにはヨーロッパ、中近東、西アジアにも、それぞれの出身者がいる部門に主導させることは、1つの大きな利点だと思っています。

また、アジアにおいては、それぞれの国や地域での拡大が期待されるわけですが、そういう中で1つ大きいのは、やはり華人が経済の実権を握っていることです。当然われわれの会社にも華人がたくさんいます。アジアの現地法人にいるそういう人たちの活用も重要なポイントだと思っています。

本日は、われわれの数少ない経験から感じたことではありましたが、この話が皆さまのお役に少しでも立てれば大変幸せだと思います。ご清聴どうもありがとうございました。


まつえだ・ひろすけ
 大陽日酸株式会社代表取締役会長。1965年に日本酸素株式会社(現大陽日酸)に入社。プラント海外営業部門、シンガポール現地法人社長、国際部長、経営・人事本部長、オンサイト・プラント事業本部長、事業部門担当副社長、社長を経て現職。欧米企業が先行する海外産業ガス市場に対して、積極的なM&Aによりグローバル化を推進している。


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