グローバルM&Aによる事業拡大には世界レベルでの経営戦略を策定する仕組み作りが重要--松枝寛祐・大陽日酸会長


 一方、アジアにおいては、その会社の事業内容によって所管事業本部を決めて、所管事業本部で管理を行っています。当然ながら財務や人事などは、コーポレートオフィスがいろいろな面でのバックアップはしていますが、いずれにしても基本の経営については、技術や品質面を含め、各所管事業本部がガバナンスを発揮しています。

シナジーおよび統合効果の実現

次に、シナジーおよび統合効果をいかに早く実現させるかについてですが、シナジーというのはいろいろな見方がありますが、われわれとしては出資先あるいは買収先企業の、販売網や人材の有効活用が決め手となります。それに対して当社の持っているプラントなりガスの生産技術、メンテナンス、サービスを絡めていくことで、シナジー効果を出していきます。さらにはガスを売るときには、どういう形でガスを使っていただくかということで、お客さまにガスアプリケーション技術を含めたトータルソリューションを提案しておりますが、新しいアプリケーション技術を日本だけでなくアメリカやアジアで使えるようにすれば、技術開発にかかった費用の回収も早くなるというようなこともいえるかと思います。

M&A先企業の有力人材を活用

M&A先企業の有力人材の活用あるいは育成ということですが、海外事業を拡大していく中では、どうしても現地の人間を幹部に登用していく必要があります。日本に外資系企業が参入してきた場合も、営業などのお客さまに接する基本的な部分は国の文化、習慣をよくわかっている日本人を登用していると思います。われわれが海外へ行った場合も同じように現地幹部の登用が不可避です。買収、M&Aで事業を拡大させているアメリカの例で申し上げますと、CEOあるいはCOOにはアメリカ人を起用しています。さらには、今現在アメリカには250以上の拠点がありますが、それを大きく6つのリージョンに分け、その長は、やはり買収先の人材を登用しています。そのために現地の人たちにどれだけの能力があるのか見極めたうえで登用するという形になってきています。

また、現在のアジアにおいては、当社がマジョリティをとっているところは社長ならびに工場長は日本から派遣していますが、いつまでもこういう形がいいかというと、必ずしもそのようには言えないと思います。

これはコスト面のほか、日本人を出すと、たとえば任期3年なり5年という期間で交代となってしまうからです。そうすると、3年、5年が経って現地の事情もわかり、経営能力が上がったところで、また新しい人を出すという形になるので、会社レベルで見ますと、経営能力はのこぎりの歯のようになってしまいます。新しい人はまだ経験も少ないため、前任者のスタート地点と似たようなところからスタートして、徐々に経営能力が上がってくる。そしてまた3年、5年経つと交代と。これがずっと続くと、のこぎりの歯のようになってしまうのです。

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