大幅な増員が計画される児童福祉司だが、児相の現場の疲弊は深刻だ。
カメラのシャッター音の中、児童相談所(児相)の所長が深々と頭を下げる。虐待による死亡事件が起こるたびに、真っ先に非難の矛先は児相に向かう。しかし個々の児相を責めても意味がない。最前線を担う児童福祉司の人手不足により、児相の体制自体がもはや限界を迎えているからだ。
児童福祉司は虐待の通告が入れば駆けつけたり、一時保護をしたりと、直接子どもや親と関わる責任の重い仕事で、社会福祉士などの一定の条件を満たした地方公務員が任用される。人手不足とされる理由は、担当する虐待対応件数の多さにある。日本は1人平均41件(2018年時点)と、米国の平均約20件の倍に上る。急増する虐待対応件数に対して、児童福祉司の増員が追いついていない。
相次ぐ虐待死事件を受けて16年、国は児童福祉司を19年度までに約550人増やす施策を打ち出した。その後、18年の目黒虐待死事件を受け目標増員数を上げ、22年度までに約2000人増の計画だ。
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