児童相談所(児相)は、虐待の現場で子どもを一時保護する「介入」と、家庭環境を改善する「支援」という2つの役割を求められる。しかし親の同意なく子どもを保護しようとすると、親からの反発を招きやすく、家庭への支援も同時に行うことは難しい。実際に「介入と支援を同じ機関が担うのは問題」という意見は根強い。
中でも困難なのは、子どもを児童養護施設や里親など家庭外に委託するケース。親の同意が得られなければ、家庭裁判所に申し立てるなど複雑な手続きが求められる。それを避け、同意を得ようと親との関係性に配慮すれば、子どもの保護に消極的になることもある。結果として介入が遅れ、幼い命が失われるという事件が後を絶たない。
こうした問題を受けて、今年6月成立の改正児童福祉法には、介入と支援の担当ケースワーカーを分けるべきだとの旨が盛り込まれた。しかし役割を分担するには担当者間の引き継ぎや、保護者との関係性を作り直すことが必要で、現場からは「すぐには踏み切れない」との声も上がっている。現状でも役割を分担している児相はあるが、厚生労働省の調べ(2015年)では2割にとどまる。
仕組みを見直した米国
虐待対応を海外事例を基に研究する神戸女子短期大学の畠山由佳子・准教授によると、海外では介入と支援の役割分担が実践されている。例えば米国の一部の州が導入するのが「ディファレンシャルレスポンス(DR)」と呼ばれる区分対応システムだ。
そこでは虐待の目撃者はまず、州などの児童虐待専用ホットラインに通告する。ホットラインの担当者は緊急度や危険度に応じ、介入が必要と判断すれば、日本の児相に当たる「CPS(Child Protective Services=児童保護サービス)」などへ、支援が必要な場合は郡や市などの自治体へと対応を振り分ける。
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