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保育士、低賃金のカラクリ「委託費弾力運用」の大罪 人件費を事業拡大に流用

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本来、保育士の賃金はビジネスパーソンの平均を上回る想定だ。

写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

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「この保育園、いつか子どもが死ぬのではないか」

都内の認可保育園に3歳の息子を通わせている40代の女性は、仕事を辞めるべきかと真剣に悩んでいる。今年の春、わずか1カ月の間に2度も子どもが保育園でケガをした。衣服に血がにじみ、大きな傷がひじやひざにあっても、お迎えのときに保育士からは一言の報告もなく、処置もされていなかった。事情を尋ねても、「見ていませんでした」と言うだけだ。

入園した当初、1歳児クラスの担任は2人とも新卒採用。すぐ担任が辞めて3人も入れ替わった。2歳児クラスになっても、毎日のように引っかき傷やたんこぶを作って帰ってきたが、保育士は決まって「見ていませんでした」と平然としている。入園してから1年半、子どもは登園を嫌がって毎日泣いた。

運営会社はこの5年ほどで急に保育園を増やし、東京近郊を中心に約20の園を運営する。園長の8割、保育士のほとんどが20代だ。

職業が保育園の園長でもあるこの女性は、本来なら20時までの延長保育を利用して働きたいところだが、「いつ事故が起きるかもしれないと思うと、1分でも長く預けたくない」と、16時半ごろに一度迎えに行きベビーシッターに預け、また職場に戻るという毎日を送る。自治体の窓口に転園希望を出したがかなわず、いよいよ仕事を辞めて幼稚園探しをするしかないと考えている。

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