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目黒区・結愛ちゃん虐待死、なぜ行政は救えなかったのか 母は「一緒に死にたかった」

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行政の目が届かぬところで、家族は追い詰められていった。

結愛ちゃんが住んでいた目黒区のアパート。周囲には高級マンションも(共同通信)

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東京都目黒区で昨年3月、養父の船戸雄大被告と実母の優里被告からの虐待により亡くなったとされる結愛(ゆあ)ちゃん(当時5)。両親は保護責任者遺棄致死の罪で起訴された。9月3日から始まった優里被告の裁判を傍聴した。

2018年1月に香川県善通寺市から東京都目黒区に転居。5歳の子どもはわずかな食事しか与えられず、毎朝自分の体重を記録していた。九九や時計の読み上げという学習が強要されたうえ、養父からは激しい暴力を浴びた。全身に170以上もの傷が残され、約1カ月半で体重を4キログラム以上落として12.2キログラムで亡くなった。

DV(家庭内暴力)を受けていた優里被告の、夫に対する「叱ってくれてありがとう」という感覚の特異さ。品川児童相談所の職員の来訪を拒んだ際、夫からあらかじめやり取りの言葉を暗記させられていた。夫に逆らうと結愛ちゃんにさらに暴力がいくと思い、守れなかったと語った。被告人質問の最中に優里被告は「結愛と一緒に死にたかった」と号泣した。

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