日雇い労働者の町、西成区は地域ぐるみで虐待防止に取り組んでいる。
地域の連携が児童虐待を最小限に抑えてきた
大阪市西成区のあいりん地区(釜ヶ崎)。全国の野宿者数は減ったというものの、まだ段ボールの「家」のある公園が残る町中を通り抜け、ランドセルを背負った子どもたちはその施設に駆け込んでいく。「ただいま!」。甲高い声が響き渡るとスタッフは返した。「おかえり!」。
認定NPO法人「こどもの里」は、日雇い労働者の寄せ場として知られるあいりん地区の中心地にある。覚えたてのギターを弾いてみせる子、ボールとバットで野球をする子。子どもが思い思いの時間を過ごせるこの施設は、誰でも無料で利用できる。約100人の児童が登録しているが、利用者は200人近い。遊び場、行き場であるとともに緊急一時保護を含め宿泊、長期滞在も可能だ。
1人、スタッフの背中にピタッと張り付いて離れようとしない子がいた。話しかけても反応が薄い。スタッフによれば「ある事情で親と一緒に暮らせなくなり、最近ここで生活を始めた」。利用者の約4割が生活保護を受給する家庭の子だ。貧困、親や親の交際相手から受ける暴力、薬物やギャンブル依存など、こどもの里を「居場所」にしている子どもたちの背後にはさまざまな事情が見え隠れする。
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