これがニッポンの管理職だ!--特集/管理職「超」入門・あなたが部下を持ったとき
50歳の誕生日を機に退職、独立してコンサルティングや原稿執筆で活躍するAさん。「何より大変だったのは部下の人事評価」と、管理職時代を振り返る。40代で管理職に昇進、退職直前には20人ほどの部下を抱えていた。「他人を評価しなくなって、本当にすっきりした」とAさんは笑う。
管理職が一般社員と違うのは「部下がいること」。ゆえに、管理職の悩みは募る。「課長として悩みを感じていること」を問う調査では、1位は「業務量が多すぎて余裕がない」。そして2位の「部下の人事評価が難しい」、3位の「部下がなかなか育たない」など、部下についての悩みが続く。
部下の多様化も進んでいる。女性の社会進出も増えた。年功序列が崩れて、年上の部下もザラ。パートや派遣社員などが増え、世代間で仕事への価値観にギャップもある。「黙って俺の言うことを聴け」といった上意下達型のリーダーシップだけでは通用しない時代となった。
[+図をクリックで拡大]
「上司は部下に話しかけにくいと思い、部下は上司から話しかけてくるものと思っている。お互いにすれ違い」と、企業研修を手掛けるトーマツイノベーション社長の白潟敏朗氏は語る。「部下が間違っていても、ひとまず『それもいいかも』と肯定するような、部下が話しかけやすい“仕掛け”を作る必要がある」。
それでも、部下の管理や指導、育成だけに特化できるのなら、まだよい。「最近は管理職のプレイングマネジャー化が進んでいる」と、産業能率大学マネジメントリサーチセンター長の杉原徹哉氏は指摘する。プレーヤーとして優秀な社員が管理職に登用され、昇進後も個人として一定の業績を上げることが求められる傾向が強まっているためだ。