「独服」によって自分と向き合う時間を作る--『茶』を書いた千宗屋氏(武者小路千家家元後嗣)に聞く

「独服」によって自分と向き合う時間を作る--『茶』を書いた千宗屋氏(武者小路千家家元後嗣)に聞く

千利休の末裔である若き異才が現代版『茶の本』を刊行した。「視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を駆使する生活文化の総合芸術」である茶の湯の真髄とは。

──茶の湯をたしなもうとする人々の動機が変わってきたそうですね。

「礼儀作法を学ぶもの」「花嫁修業のため」というより、むしろお茶の本来のあり方、あるべき姿をとらえて、茶人になろうとする人が増えてきている気がする。

──本来のあり方とは。

お茶は決して作法至上主義ではない。もちろん特殊で堅苦しく怖いものでもない。

生まれも育ちも生い立ちも別々な人が集まって、一つの場でつかの間のコミュニティを作り上げる。そこで茶の湯のルールにのっとって交流していく。それが、心と心の交わりをお茶の方法論によって実現する「直心(じきしん)の交わり」になる。

日常から少し離れた別世界に身を置き、その中での共通のルールに身を浸して心を遊ばせる。普段の日常生活では互いに邪魔になっている壁を取り払った、向こう側の場所で心を交流させる。そういう場を楽しむことができる。

──社交の場だけではない?

お茶には二つの役割がある。社交の場として、心と心の交わりを深めて、日常に戻った後でも、それによって信頼関係を深め合う。共通の趣味、美意識を共有したりと。ただし、社交は自分というものがないと、周りに流されて終わってしまう。

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