「独服」によって自分と向き合う時間を作る--『茶』を書いた千宗屋氏(武者小路千家家元後嗣)に聞く

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──この本では、茶の湯をパフォーミングアートともいっています。

お茶には感動するお茶と共感するお茶とがある。露地を使う昔から連綿と受け継がれている茶の湯の完成された形では、誰もが望みさえすれば茶人になれる。体験した人からは異口同音にすばらしいと言っていただける。しかし、そう感動しても、「家元とか京都とかという場所でないとできないね」と言われてしまう。むしろ現代の生活、今の暮しの中で自己鍛錬にも活用できる方法があってもいい。

──ビジネスマンにも有用?

利休はいわば450年前のビジネスマン。小さな総合商社の社長みたいな人で貿易を手掛け、政治家の要望に応え、フィクサー的な側面も持つ。そういう人の趣味であり、生き方であり、仕事につながるたしなみでもあった。現代のビジネスマンにも共感できる生き方だったのではないか。

(聞き手:塚田紀史 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2011年1月8日号)

せん・そうおく
1975年京都生まれ。本名は千方可。茶道三千家の1つ、武者小路千家15代次期家元として2003年後嗣号「宗屋」を襲名。慶應義塾大学大学院修士課程修了(中世日本絵画史)。08年文化庁文化交流使に。明治学院大学講師(日本美術史)を務める。古美術、現代美術にも造詣が深い。

『茶』 新潮新書 777円 239ページ

  

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