(第60回)「就職協定」と「倫理憲章」、そして「卒業後3年以内既卒者の新卒扱い」に関する人事の声

●強制力のある就職協定の復活を求める声もあるが…

図表2:より強制力の強いとされる就職協定(1996年廃止)の復活についてどう思われますか。

 倫理憲章に実効性がないので、もっと強制力のある就職協定を復活させて採用活動を正常化すべきだという意見もある。この点を質問したところ、「より強制力のあるものとして復活を望む」は17.4%、「過去も守られなくて廃止されたので復活は無意味」が29.6%、「就職協定とは全く別の新しいルールが必要」が36.6%、「強制的に行うルールは好ましくなく、自由競争でやるべき」という意見は10.5%だった。

 倫理憲章のアンケート結果と類似の数字になっている。整理してみると、現在の倫理憲章にしても過去の就職協定にしても、いつも守られなかった。だからルールを作るとしたらより強制力のあるものか、別の仕組みで守られるようにしなければならないというものだ。17.4%+36.6%で計54%の人事が支持している。しかしそのようなルールが可能なのか?
 そしてルールとはスケジュールだけなのか? 何をやってよくて、何をやってはいけないというガイドラインに踏み込んだ議論は現在のところ存在しない。

 強制力とはペナルティを意味していると思われるが、どこまでが採用活動として許されるというガイドラインが不明なままであれば、困るのは人事ではないかと思う。

●卒業後3年以内「若年既卒者」の「新卒扱い」に62%が否定的

図表3:日本学術会議の分科会の「卒業後、最低3年間は企業の採用の門戸が開かれるべき」 とする提言についてどう思われますか。

 新卒採用においてもう1つ新しい動きがある。日本学術会議が8月に卒業後3年以内の「若年既卒者」を新卒扱いすることを提言し、文科省に提出したことだ。2010年春の卒業した者のうち就職も進学もしなかった「進路未定者」が10万人を超えたことに対する緊急提言だ。
 まずこの提言に対する人事の評価だが、あまり高くはない。「意味があると思う」が12.2%、「どちらかといえば意味があると思う」が23.0%、計35.2%にとどまっている。それに対し「意味がない」と「どちらかといえば意味がないと思う」はいずれも31.0%で計62%が否定的だ。

 「現在の採用環境を考えれば必要な措置ではあると思う。ただ、企業側からすればやはり完全に新卒と同等には扱えないのでは、という思いもある」というように必要性を限定的に認めつつも、研修などの教育や賃金を含め対応に困るという意見が多い。
 「年だけとった既卒者は新卒ではない」という厳しい意見もある。
 「現役大学生のみのマーケットに流入してくることになるため、現役大学生に影響が及んで悪循環になる可能性を感じる。履歴書を見れば今で言う第2新卒であることも分かるので、新卒扱いとしたところで実績には結びつきにくいのではないか」は実効性に関する疑問だ。

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