博多駅から徒歩数分の場所にあるJR九州の本社に向かう途中、同社の客室乗務員の一行に出くわした。背筋をピンと伸ばして一列になって歩く姿は航空会社のキャビンアテンダントのようだ。駅の外でも列車内と同じくらい高い意識を保つ。こうした仕事への心構えは「上から教えているわけではなく、客室乗務員の間で自然に受け継がれている」と、JR九州の青柳俊彦社長は言う。会社の隅々まで徹底した顧客意識の高さ。これが、同社が株式上場した原動力かもしれない。
──30年で最も重要な出来事はやはり昨年10月の上場ですか。
そうです。ただし重要な出来事というよりも、30年やってきたことの最終結果が上場の日に出たのです。その点では、30年にわたる一つひとつの取り組みがすべて重要ということでもあります。
──逆に30年間でピンチと感じたことは?
鉄道事業者として厳しい時期はいくつかありました。2002年には鹿児島本線・海老津─教育大前間で列車衝突事故が発生し、乗客131人が負傷しました。03年には長崎本線・小江─肥前長田間で特急列車が脱線して、30人以上の乗客が負傷した。こうした大事故を起こしたことがピンチだったと考えています。そこで、06年から「安全創造運動」という取り組みを展開し、安全を確保していく基盤はできた。
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