東海道新幹線・東京─新大阪間の所要時間は2時間22分だが、1987年、JR東海発足当時の所要時間は2時間52分だった。一足飛びで30分も短縮したのではない。88年、92年、2007年、15年と、30年間で4度の時間短縮を行った結果である。その陰には利用者から決して見えない数多くの努力の積み重ねがある。JR東海の柘植康英社長がその一端を明かした。
──30年間で最も重要な出来事は?
14年10月にリニア中央新幹線(リニア)着工が認可されたことです。大地震で東海道が寸断されると大変なことになるので、この大動脈を二重系にするために新幹線のバイパス建設を急がなくてはいけない。「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」が、当社の新たな経営理念。次の30年をにらんでという意味でも最も重要な出来事といっていい。
もう一つ挙げると、東海道新幹線・品川駅の開業(03年)です。「のぞみ」は1時間に10本走っていますが、かつては1時間に最大でも3本だった。全列車で時速270km運転が可能になり、品川駅開業を機に「のぞみ」中心のダイヤにした。スピードアップすると本数も増やせる。会社発足時の輸送力は1日231本だったが、品川開業を経て15年は358本と、輸送力が5割増になった。品川駅の建設費は約1000億円。開業後、東京・品川両駅の利用は約21万人から約23万人に増えました。これにより、1年間で収入が約500億円増えたことになり、建設費を2年で回収した非常に採算性の高いプロジェクトでした。
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