日本の鉄道はすでに「冬」の時代に突入した。今後は運営や維持がますます困難になり、規模の縮小は避けられそうにない。
自動車や航空機などほかの交通手段の発達に加えて、日本で進む人口減少や地方衰退という社会の変化の影響を受け、鉄道の需要は低下している。生産年齢人口の減少によって労働力の確保が難しくなり、鉄道業界では人手不足に陥っている。
過去30年は「競争」、今後30年は「融合」
鉄道の課題は時代ごとに変化する。「安全性の向上」や「業務の効率化」はつねに求められる一方で、社会や交通の状況によって変わるニーズもあるからだ。
振り返ってみるとJR発足直後の鉄道の大きな課題は、「業務の効率化」と「他交通に対する競争力の強化」だった。国鉄時代に悪化した鉄道事業を立て直すには、労力やコストの削減やサービスの改善で、鉄道から離れてしまった旅客を他交通から取り戻す必要があったからだ。当時は他交通が今ほど発達しておらず、日本の人口も経済も右肩上がりだった。国鉄時代の技術の蓄積もあったので、鉄道は他交通に対抗する余力があった。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら