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硬券の「技」で最先端へ 新分野に挑み続ける乗車券印刷の老舗

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長年の歴史を物語る印刷機

国鉄の分割民営化から30年。車両の進化や新幹線をはじめとする路線網の拡充など、この間に鉄道業界もさまざまな変化が見られたが、最も変わったのは「切符」に関する部分ではないだろうか。

JRが発足した1987年当時は、一部の私鉄や地下鉄を除けば都市部でもまだ自動改札機がそれほど普及していなかった頃だ。だが、プリペイド式磁気カードの普及、そして21世紀に入るとICカード乗車券の登場と、時代は急速に進化し、今や都市部ではICカード専用の改札機が大半を占めるまでになった。

めまぐるしく変化してきた乗車券をめぐる環境。その中で、伝統の乗車券印刷技術を生かしつつ時代の潮流をつかみ、デジタル時代に新たな地位を築いてきた印刷会社がある。1921年の創業以来、大手私鉄をはじめとする鉄道各社の乗車券印刷を手掛けてきた山口証券印刷だ。

伊豆箱根鉄道、京王電鉄、西武鉄道……。鉄道ファンなら、このページに並ぶ記念乗車券の数々に見覚えがあるのではないだろうか。同社は、これら数多くの記念乗車券を、印刷だけでなく企画提案やデザインから手掛けているほか、ポスターやCD・DVDのジャケットなど、幅広い分野でデザインから印刷までを一貫して行っている。「乗車券印刷という長い歴史の中でやってきた部分と、新たに取り組むべきビジネスを組み合わせたスタイルを確立すべく歩んできた」。同社常務取締役で、制作やデザインなどクリエーティブ面を担う「インセンクス事業部」プロデューサーの山口誉夫さんは言う。

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