●「多様な価値の受容」が企業の未来を決める
「いい会社」に入りたいと学生は願うはずだが、「いい会社」を判断することは難しい。いま超優良企業だとしても、20年先、30年先のことは誰にもわからない。ただし指標はある。寺澤は「多様な価値の受容」がカギであり、変化に対応できる企業に未来があると考えている。固定した価値観で行動している企業に未来はないということだ。グローバル化が急速に進行し、多くの日本企業が世界市場に未来を求めている。ホームページに事業戦略としてグローバル対応をうたう企業は多いが、成功するかしないかは事業戦略ではなく組織体質によるのである。
●講演後のトークセッションと質疑応答
「プロの採用コンサルタントが教える、ほかでは絶対聞けない実践的就職勉強会」では、寺澤の講演終了後に、旭化成採用担当の米田未央さんを迎えてトークセッションを行った。米田さんは入社5年目。初任配属で宮崎県の工場に赴任し、1年半の勤労担当を経験後に本社の採用担当になった。2012年度は採用担当として4シーズン目になる。トークセッションの終了後に質疑応答が行われた。質問に対し寺澤と米田さんが回答する形式で進行したが、予想に反して学生はとても活発で、勉強会終了予定時間になっても質問を希望する学生が後を絶たず、いったん全体会を終了し、希望者のみ残る形式にした。それでも参加者の半分程度の学生が2人を取り囲み、個別質問は1時間以上という異例の長さになった。
質問は講演内容を確認するものが多く含まれていた。たとえば、リクルートスーツを着ると個性のない就活生になってしまうという寺澤の講演に対し、「僕もスーツを着ると自分ではないシューカツ人になってしまう。どうしたらいいのでしょうか」という質問があった。米田さんは「旭化成のセミナーではリクルートスーツではなく私服で来てもらっているが、まさにそれが理由」と指摘。学生が普段どおりの気持ちで会社を見極められるようにとの配慮からだという。寺澤は「スーツ姿に慣れるには、スーツを着て多くの社会人に会って話すとよい」と説明。慣れるには着る機会を増やすしかないということだ。
「どうすれば多様な価値観を受容する会社を見分けるのか」という質問もあった。寺澤は「歴史を見ることでどのように事業分野が発展してきたかを知ることができる」「経営者の発言にも表れる」「外国人雇用が進んでいるかどうかでダイバーシティ(多様性)を測ることができる」と説明。
そのほかにも「新聞を読むことの必要性」「OB/OG訪問」「面接で他社での就活の進展状況を聞かれたとき」「志望企業が少なくなりすぎたときの対処法」など多種多様な質問が飛び出した。
そして終了後のアンケートでは、ほとんどの学生が「非常に満足」と回答。「OB/OG訪問の重要性が理解できた」「自己分析で悩んでいたが解消した。元気が出た!」「採用担当者から生の話が聞けて本当によかった。感謝します」などの意見が多数寄せられた。
就職セミナーでは緊張した表情のまま帰る学生が多いが、今回は晴れやかな表情が目立った。最後の最後まで残っていた学生は、なんと秋田からこのために上京して参加していた。参加学生の就職活動の成功を祈りたい。
HRプロ
代表取締役 寺澤康介
1986年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(現HRプロ)を設立、代表取締役に就任。約20年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
代表取締役 寺澤康介
1986年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(現HRプロ)を設立、代表取締役に就任。約20年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
佃 光博(つくだ・みつひろ)
早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年、(株)文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。84年、(株)ピー・イー・シー・インタラクティブ設立。87年、学生援護会より技術系採用メディア「μα(ミューアルファ)」創刊、編集長。89年、学生援護会の転職情報誌『DODA(デューダ)』のネーミング、創刊を手掛ける。多くの採用ツール、ホームページ制作を手掛け、特に理系メディアを得意とする。2010年から、「採用プロ.com」を運営するHRプロ嘱託研究員を兼務。
早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年、(株)文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。84年、(株)ピー・イー・シー・インタラクティブ設立。87年、学生援護会より技術系採用メディア「μα(ミューアルファ)」創刊、編集長。89年、学生援護会の転職情報誌『DODA(デューダ)』のネーミング、創刊を手掛ける。多くの採用ツール、ホームページ制作を手掛け、特に理系メディアを得意とする。2010年から、「採用プロ.com」を運営するHRプロ嘱託研究員を兼務。
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