●OB/OG訪問する学生は内定率が高い
OB/OGを探すために親・親戚・知人のツテを総動員すべきだし、合同説明会で気になる会社が見つかれば「社員に会わせてくれ」と頼むべきだ。その会社の営業現場に行って「就活学生なんですけど・・・・・・」と話しかければ、話してくれる社員もいるはずだ。建前では「OB/OG訪問を受け入れない」という企業でも、人事に電話して熱意を伝えれば会ってくれることもある。寺澤によれば、OB/OG訪問する学生を歓迎する企業は多い。採用側の視点から見れば、そういう熱意、積極性、突破力がまさしく「前に踏み出す力」だからだ。
社員に会っていれば志望動機も説得力を持つ。多くの学生は「ホームページを見て・・・・・・」「説明会に参加して・・・・・・」と言うだろうが、こんな志望動機を聞く採用担当者は「またか」と思ってしまう。「御社の営業部の~~さんに会っていただき、2時間も話し込みました」と具体的に説明すれば、「この学生は本気」「理解したうえでの志望」と判断するはずだ。
アンケート調査でもOB/OG訪問をたくさんした学生ほど内定率が高く、いい就職ができている。
●面接で測られるコミュニケーション能力を社会人と話して養う
OB/OG訪問は、コミュニケーション能力を養ううえでも重要だ。企業が人材要件としてコミュニケーション能力を重視する理由は、仕事の本質がチームワークだからだ。しかし「私は友達が多いからコミュニケーション能力が高い」と勘違いしている学生がいる。社会では、友達との会話やケータイメールをコミュニケーションとはいわない。「要点を理解し、的確に応える」力がコミュニケーション能力だ。相手の意図を理解し、正しく簡潔に受け答えする言葉のキャッチボールがコミュニケーションである。
友達や親兄弟と話しても、社会が求めているコミュニケーション能力は身に付かない。社会人と話すことで養われるのがコミュニケーション能力だ。
コミュニケーション能力は面接で測られる。就活本は「自己PR」の重要性を強調しているから、自己PRを周到に準備、練習して面接に臨む学生が多い。寺澤の面接官経験でも、それまでしょぼんと自信なさそうだったのに、話題が「自己PR」になった途端、目をランランと輝かせ、せきを切ったように話し出す学生がいたそうである。明らかに丸暗記。その学生には気の毒だが、自己PRの意味がわかっていない。
面接官は、学生がマニュアルに沿って作った志望動機や宙に浮いた自己PRを聞きたいわけではない。エントリーシートを見ながら学生から引き出そうとしているのだ。言葉のキャッチボールがきちんとできるか、自社の採用要件を満たす人物なのかを見極めようとしているのだ。求められれば自己PRしてもいいが、言わなくてもいい。
●社員の仕事を追体験するイメージシミュレーション
面接では学生の予期せぬことが起きる。和やかな雰囲気で進み「うまくいった」と思っていたのに落ちることもある。質問攻めされてしどろもどろになってしまい、「ああ、ズタボロ」と落ち込んでいたのに通ることもある。理由は推測できる。面接官はたくさんの学生に会うので疲れてくる。「あまりよくない」と思えば、社交辞令的な会話で息を抜くこともある。逆に「これは」と興味を持つ学生に対しては質問を連発することもある。
面接官は学生が「いい人」かどうかではなく、「活躍できるタイプ」かどうかを見ている。そういう採用側の視点がわかれば、面接は、自分が「活躍できる人材である証拠」を提出する場であることが理解できるだろう。
とはいえ「頑張ります」「頑張ります」と面接で連呼しても、証拠にはならない。どうやって自分がその企業で「活躍できる人材」かどうかを判断すればいいのだろうか?
その判断のためには企業選びの段階までさかのぼって、「自分に合うかどうか」という視点を持つべきだ。合同説明会で知らない業種のブースで話を聞いたり、積極的にOB/OG訪問をしていれば、自然に自分軸が形成され、合う・合わないがわかってくる。
そして合いそうな企業を志望するわけだが、本当に志望企業で自分が活躍できるかどうかを判断するために、寺澤が推奨するのが「イメージシミュレーション」だ。
たぶん採用ホームページを漫然と読み飛ばしている学生が多いはずだが、採用ホームページに登場する社員は「できる人」だ。「こういう人が当社では活躍しています」「こういう人材を求めています」というメッセージが隠されているのだ。
そこで、志望が固まった企業の採用ホームページを読むときには、登場する社員の体験を「自分が仕事をする立場」でイメージする。追体験して、同じように行動できるかをシミュレーションする。
こうして「自分もできる」と確信できれば、それは宙に浮いた自分ではなくなる。そして面接での回答の核になる。
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