――連立政権が安定多数の議席を保持しました。
連立政権は議会の3分の2の安定多数を保ち、それによって、たとえ次回参議院選挙で連立が過半数を失うとしても参議院なしで法案を通す力を持ちました。選挙の結果、安倍晋三首相は向こう4年間、選挙無しで政権を運営することが可能となりましたから、長期的安定を得たことになり、これは日本の政治ではめずらしいことです。
首相は今後4年間、自身が掲げる日本のビジョンを具体化し、推し進めてきた国内改革を継続するぜいたくな環境を得たのです。もちろん、首相は前任者たちが直面したのと同様、党内調和を保つためのプレッシャーにさらされます。しかし、選挙に勝てることを示したので、支持率が高くとどまる限り首相を覆そうとする確かな反対勢力が党内に出現するのは難しくなります。
しかし、自身の政策を追求するこのぜいたくな環境は両刃の剣です。選挙前、また選挙期間中の官邸からのメッセージとは、首相の経済政策が成果を上げるにはさらなる時間が必要である、アベノミクスは始まったばかりであるというものでした。選挙の結果、時間と議会の3分の2の議席を得た今、安倍首相は結果を出す必要があります。
安倍首相は約束を果たさなければならない
つまり、“さらなる時間が必要”という論理は1度しか通用しません。今後の4年間にポジティブな方向への経済発展がほとんど見られなければ、有権者はただ1人、1つの党に責任があると考えます。ですから、首相と自民党は結果を出す必要があります。そうできなければ、2009年の選挙で自民党が責任を追及され政権を失ったのと同様のことが起こりえます。つまり、安倍首相は時間を得たと同時に、今や約束を果たさねばならない、そうしなければ自分自身の政治生命が危うくなるということです。
――公明党の役割に変化は起こりますか。
公明党が4議席増やしたとはいえ、現状が大きく変わるとは思いません。公明党は引き続き安倍首相の政策議題へのブレーキ役となるでしょう。私たちは10年以上にわたり、特に安全保障関連の政策についての連立政権内での押し引きを見てきました。しかし、この政策上のブレーキは公明党の専売特許ではありません。自民党は過去同様、今も大政党です。各派閥は最盛期ほどの力は持たないかもしれませんが、岸田文雄氏の派閥のようなリベラルで穏健な派閥が今も存続します。これら派閥も、党内議論によって重要なブレーキ役を果たし続けます。
野党が現在の混乱を脱し、何に反対するかではなく何を推し進めるかというビジョンや政策を形作るまでは、これらの派閥と公明党が一緒になって事実上の野党機能を果たすでしょう。
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