――民主党は今後どこへ向かうのでしょうか。
誰もが民主党を批判したがっているように見えます。それでも、同党は議席を増やし、民主党は日本における現実的な第2の選択肢であるという大衆の根強い信仰を表しました。とはいえ、民主党党首の海江田万里氏が掲げた100議席目標には到達せず、国会で自民党に抵抗するには数の面で遠く及びません。さらに、73議席というのは次の選挙で過半数を目指せる状況ともいえません。
この選挙における民主党の最大のニュースは海江田氏の敗北であり、1949年に社会党の片山哲委員長が落選して以来、久方ぶりに起きた野党第一党党首の落選です。彼の落選は民主党全体の弱さを示すものではありませんが、なぜ正しいリーダーシップが必要なのかに関して、大きな教訓を残しました。海江田氏が民主党のリーダーとしてベストの選択だったことは一度もありません。ですから、彼の敗北は民主党にとって長期的な意味で良いことだと考えるべきです。
同党は何を目指すかのビジョンを再構築し定義する必要があります。重要な点として、民主党にはある程度のカリスマ性を持ち、党の支持者とメンバーの両方から信頼されるリーダーが必要です。それはおそらく、元外務大臣の岡田克也氏か元官房長官の枝野幸男氏でしょう。
共産党の躍進を過大視するべきではない
――次世代の党の敗退、共産党の躍進をどう見るか。
次世代の党にとって2014年5月の分党以来始めての機会であり、有権者にとっては同党の基本政策への支持を表明する初めてのチャンスとなりました。同党の事実上の消滅は重要です。なぜなら、有権者たちは同党に無関心である、あるいは同党が右傾化し過ぎだと考えているという強いメッセージを伝えたからです。どちらが事実であるにせよ、結果は次世代の党の見解・基本政策が大衆に響かなかったことを示しました。
その一方で共産党の躍進をどうみるかですが、私はこの勝利を強調し過ぎるのは誤りだと思います。それは主に、他の野党とは違って共産党だけが数多くの小選挙区に候補を立てたからです。原発、消費増税、および日本の安全保障政策の変更に反対する姿勢を貫き、自民党政策に対する反対票の受け皿となりました。つまり、ある選挙区に他の野党候補者がいない場合、安倍首相とその政策に反対する票は全部共産党に流れたのです。また自民党に反対する現実的な候補が他にいない多くの選挙区で、共産党がデフォルトの選択肢となりました。
――過去最低の投票率の持つ意味は?
投票率は52%で過去最低でした。この投票率の低さは、安倍首相の政策が信任を得たという主張を弱めます。今回の投票率の低さはいくつかの意味に解釈できます:1)有権者は安倍首相とその政策に強い関心を持たなかった;2)有権者は野党各党を好まなかった;あるいは3)有権者は総選挙の必要を理解しなかったか、感じなかった。理由が何であれ、低い投票率の唯一の即座の影響は国民の信任を得たとの主張が困難になることです。
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