共産党が大躍進を遂げた2つの理由とは? 日本人はノーと言える政党を求めている

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シエラ・スミス(Sheila Smith)●外交問題評議会 (CFR) の日本研究部の上級研究員。2007年から2008年には慶応大学で客員教授を務め、中国に対する日本の外交政策を研究。日本の外交・安全保障に関する2つの重要なシンクタンク (日本国際問題研究所および平和・安全保障研究所)、ならびに東京大学および琉球大学で客員研究員を務めた。ジョージタウン大学のアジア学科では非常勤教授として教鞭を執り、同大学のアジア問題ジャーナルで理事を務めた。コロンビア大学で政治学の修士号と博士号を取得。

――今回の総選挙で自民党は数議席を失いました。安倍首相は選挙からどのような利益を得たのでしょうか。

狙いは、自民・公明が政権を握っている期間を延長することで、その点で安倍首相は成功しました。それは同党が今後の数年間 は選挙のことを考えなくてよくなることも意味します。連立与党は、来春の次回地方選挙まで政策の優先課題に集中できます。解散時に非常に低い目標を設定したことで、解散前と同じ程度の勢力を獲得したに過ぎないのに、大勝利の印象を作ることに成功しました。

――12月に入ってから自民党が相当数を獲得する予測があったことを考慮すると、同党が数議席を失ったことに何らかの意味があるでしょうか。

解散時点では、多くの人が、自民党はもっと多くの議席を失うと考えていました。選挙のタイミングに皆が驚き、この解散総選挙が当初、消費税に関連して行われたことを考えればリスキーでした。でも選挙は、いつかは行われたはずであり、その時期だけが問題でした。春では地方選挙とぶつかり、それより後になれば自民党、そして安倍首相にとってさらに具合が悪かったかもしれません。首相は早期に選挙を実施し、その計算は当たりました。今や自民党と公明党は、今後4年間の政権を手中にしました。

公明党は自信を深めた

――公明党が数議席を増やしたことで、集団的自衛権や原発再稼働のような、論争の余地がある問題に対する、連立政権の対処の仕方を複雑にするでしょうか。

公明党は今や、連立における自らの役割に自信を深めたはずです。集団的自衛権について公明党はすでに成果を出しています。全般的に、再解釈を行える幅が制限されるように物事を設定しました。来年、この法律が再検討される間、公明党がその役割を果たし続けるでしょう。
同じように、公明党は地方の問題に対処することでも重要な役割を果たすことになります。公明党は沖縄問題でも注目されます。公明党の支援なしには誰も知事選で当選できません。したがって公明党の翁長雄志知事との関係も注目されます。

――公明党は政権内における実質的野党なのでしょうか。

いいえ、典型的な連立政権の役割を果たすと思います。政権を運営するうえで、公明党の影響力が、より大きな自民党の政策上の優先課題で力を及ぼすことはありません。しかし、公明党に配慮する必要はあり、この1年間に集団的自衛権に関して見られたとおり、公明党はその暗黙的な拒否権を通して、意思形成において大きな力を発揮できます。

その真の力はもちろん選挙における価値にあります。自民党と公明党の共益関係は選挙時に発揮され、今回の選挙のタイミングに関する駆け引きは、来春の地方選挙とかち合うことを避けたい公明党の考えを反映していました。小選挙区の自民党候補のほとんどが今日、公明党とその関係団体の創価学会の動員能力に大きく頼っています。難しい局面では、勝つために公明党の助けが必要です。とてもではないが自民党は公明党から離れられません。あまりに互いに依存し合っているからです。

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