博士になったのに、常勤職に就けず1~5年の任期付きの職を転々とするポスドク(博士研究員)の増加が叫ばれて久しい。博士が余ってしまう「ポスドク問題」が指摘され始めた2000年代初頭から、背景にある構造的な問題がほとんど変わっていないのだ。
そもそも1990年代前半には、日本にはポスドクはほとんど存在しなかった。博士自体がまだ希少な存在であり、博士課程修了者数と大学の若手教員の採用数がほぼ釣り合っていたからだ。
修了と同時に就職できなくても、「オーバードクター」として研究室にとどまりアルバイトや留学をしていれば、やがては助手(現助教)、助教授(現准教授)、教授という、定年までの身分が保障された大学教員のルートに乗ることができた。
流れが変わったのは90年代後半。国が科学技術の振興を掲げ、博士を増やすために大学院重点化を始めたからだ。大学院の定員が大幅に増やされ、博士課程修了者数は91年から00年の間に2倍になった(図1)。
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