航空機に使われる軽く丈夫な炭素繊維、海水淡水化に使われる逆浸透膜、身近なところではユニクロのヒートテック。東レの研究開発力、技術力には定評がある。技術センター所長を兼ねる阿部晃一副社長は、「東レでは、『研究・技術開発力』と呼んでいる」と強調する。
「研究はゼロから1を生むようなブレークスルーを狙うが、簡単ではない。それよりも、決められた期間やコストの中で、決められた物性、品質のモノを作り上げるのが技術開発。表記上の小さなことだが、こだわっている」(阿部氏)。独創的な研究と、それを製品化に結び付ける技術開発。言葉の使い方一つにも東レらしさが表れている。
こだわりの強い同社の研究・技術開発組織には、三つの特徴がある。
一つ目は、技術センターの権限の大きさだ。研究本部から生産本部(技術部)、機械・設備を内製化するエンジニアリング部門まで幅広く管轄している。これにより、人、モノ、カネ、技術を、柔軟かつ機敏に配分できる。
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