有料会員限定

社内失業からの逆転人生 日立の元半導体研究者AIとビッグデータで再ブレーク

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 最新
拡大
縮小
やの・かずお●1984年早稲田大物理修士課程修了、日立製作所入社。論文被引用件数は2500件、特許出願350件。東京工業大情報理工学院特定教授。工学博士。

特集「理系社員サバイバル白書」の他の記事を読む

長年にわたり担当してきた事業から会社が撤退──。そのとき、技術者はどう生き残るのか。研究分野を変えて見事に再ブレークを果たしたのが、日立製作所研究開発グループ技師長の矢野和男氏だ。

矢野氏は東京・国分寺にある日立の中央研究所で半導体分野の研究開発に携わってきた。1993年、コンピュータの小型化と大容量化を可能にし、消費電力を抑えられる単一電子メモリの室温動作に世界で初めて成功するなど、数多くの功績を残した。しかし2002年に日立が半導体事業から撤退し、事実上の社内失業となってしまう。

当時、中央研究所には半導体技術者が200人はいた。一部は事業移管先のルネサスエレクトロニクスへ移ったが、私に選択の自由はなかった。外からの誘いもあったが、当時は部長で部下もいたし、研究自体は楽しかったから残ることにした。

03年から新しい挑戦を始めるに当たり、昔から何度も読んできたドラッカーの本を手に取った。「20世紀は肉体労働の生産性が50倍に上がり、21世紀に期待される最大の貢献は知識労働の生産性を同様に上げること」と書いており、これだと思った。われわれのテクノロジーで21世紀に何かできないか。半導体の経験から小さな端末を造ることが得意だったので、コンピュータをあらゆるところにつけてデータを収集しようと考えた。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
理系社員サバイバル白書
国立vs.私立 大学選びのポイント
行き場がない「博士課程修了者」
交付金削減で国立大学がピンチ
文部科学省に翻弄される理系教育
工学の論文数は韓国も下回る
英語発信力を強化せよ
強まる世界の大学競争
上場企業トップの理系出身者
「理系の部下」の能力を引き出す方法
筑波大教授で上場企業CEO
東レ、日立、パナソニック研究部門トップを直撃
ベンチャー若手3人に聞く
電通、ヤフー、みずほがラブコール
日立の元半導体研究者AIとビッグデータで再ブレーク
理系出身トップが語る
研究技術者に求められること
佐藤優が理系向け「社内での生き残り」を指南
転職と理系資格の市場価値
東芝で半導体技術者→中央大教授が説く
こんなはずじゃなかった
理系社員 サバイバル白書
生き残る技術者の条件
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内